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『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』 予告編 第7章 J ―LOPの不都合な真実/腐敗を終わらせるために


日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理  第7章 J ―LOPの不都合な真実/腐敗を終わらせるために p363-364 より

◆腐敗を終わらせるために


これが、私が「はじめに」で述べた、クールジャパン事業が「民間事業」に位置付けられた ことによる情報公開の壁になります。どんなに説明のつかない不都合が生じても、民間事業者 は民間であることを盾に、情報公開を拒否できます。

同じく、国も民間事業であることを盾に「公文書は存在しない」「目視のみの立入検査でい ちいち覚えていない」という説明によって、広報費に流れた合計 億円もの税金の使い道をうやむやにできてしまうのです。

このように、J ―LOPという155億円のクールジャパンツールもまた、その半数近くの 「補助事業費」が必要性の乏しい支出だっただけでなく、「事業管理費」についても正当性が見 出せません。「とにかく予算を使いきるんだ」という官民の強い意志の下、あらゆる手口を使って補助金が引き出されていた印象です。 そして、ANEWに次々と追加投資が行われたのと同様に、ここでも辻褄の合わない「クー
ルジャパン成果」が語られ、毎年のように巨額の補正予算が投じられていきました。

J ―LOPの「間接補助金制度」とは、官民ファンドが「民間事業」と位置付けられている のと同じく、所管である経産省が積極的に公文書を作成、取得しないことにより税金の使い道を不透明にする方法がとられており、こちらもANEWと類似しています。 日本には、実効性や中身のない「クールジャパン」「オールジャパン体制」に巨額の税金や 公的資金を使っている余裕はないはずです。こうした無駄な予算作りと予算消化がこうまで繰り返されるのであれば、その公的資金投資や税金を、産業で働く「人」に向いた適切な支援に回すべきだと、声を上げざるをえません。 

クリエイティブ産業への支援を考える時、決して「映画様だ、アニメ様だ、我々は支援されて当然だ」と主張するのは誤りです。公的資金投資、税金の使われ方には国民の広い理解が大前提にあるべきで、この分野の発展が日本を豊かにするために有効だという、真の成果を誠実 に示す必要があります。

今すぐに、不明瞭な「クールジャパンツール」の制度を、透明性を確保して国民への説明責 任をきちんと果たすことのできるものに是正しなければなりません。

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