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浮いていますが何か?

-- 400字小説 --

「よわよわカメラウーマン」(林ナツミ)さんの写真を見た時、あ、これ私って思った。日常の中でふわっと女性が浮いている。何かが起きそう。18年前に生まれてから私には大きなことは起きていないけど、浮遊しているのは同じ。私、浮いているの。

変なことを言ったりして周りから浮いているんじゃなくて、地に足がついていないの。小さなころから足の裏が汚れることがなかった。靴のソールが磨り減るって意味が分からなかった。

みんなも同じだと思っていたんだけど、中学2年の帰り道、後ろからアケミに「ユミ、浮いてるよ!」と言われて、自分だけだと気づいたの。どぎまぎした。変だと思われてはいけないと思った。「そう? ちょっと熱があるのかな」。ごまかして後悔した。「浮いてる? 私、かっこいいでしょ」っていうべきだった。

それからは「浮いてますが何か?」の精神よ。私だけのオリジナル。まずは大学入試の面接で浮いてみようと思っているの。

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