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眠れない話ではなく、どちらかというとすぐに寝てしまう話

-- 400字小説 --

寝ている自分を客観的に見つめるのは難しい。怒っている時、泣いている時、どれだけ感情的になっていても、ふと我に返ることがある。しかし、睡眠は別だ。今日も何も考えずに寝てしまうだろう。オレはベッドに入った。

大の字を少し控えめにした情けない大の字程度に手足を広げる。薄手のタオルケット1枚。ゆっくりと目を閉じる。まだ、顔に力が入っている。ふにゃと擬音を頭の中で発して脱力をする。

手足もまだ硬さが残っている。マットレスに一体化していない。足の先から意識をして力を抜く。「右足、ふにゃ。左足、ふにゃ」。足が重く感じるようになり、足とマットレスの境目が分からなくなってきた。腰、腹、右手、左手と順に「ふにゃ」と唱えていく。体全体がマットレスに落ち込んでいく。

……今、寝てた。夢の中で目が覚めた。今、起きているのか、夢の中で起きたことになっているのか。よく分からない。半醒半睡。夢の中のオレをオレが見ている。

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