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マクロ経済政策のタイミング

 さて明日から日本銀行政策決定会合です.焦点は追加利上げと国債買い入れペースの変更なわけであります.

 直近でインフレ率は減速しており,基調的インフレ率を示す指標は2%を割り込むものが目立っています.さらに1-3月期GDPはマイナス成長,2024年度の経済成長率見込みは0.9%に下方修正されました.

日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」より(データの詳細はリンク参照)

 この状況での利上げに何の意味・意義を見いだすのか私は全く理解できません.Youtubeチャンネル8/6火曜から復活するニコ生でも繰り返してきたように,年初には今年半ばからゆっくりとした金融緩和縮小が必要になると予想してきました.しかし,現在の状況はそうはなっていない.

 インフレの減速/景況の悪化の中でなぜ逆噴射をするのか...

 低金利が低生産性企業を温存しているという人がいます.誤りです.これはデフレ不況時にも繰り返したように,負債依存度が高い……つまりは低金利の恩恵が大きいのは資金需要の強い新興企業(⊃これからの成長企業)です.キャッシュリッチだったり,金融資産を多く抱えているのはむしろ成熟企業(⊃そんなに成長が望めない企業)だつたりする.
 この手の「シバキ上げるとなんとなく成長産業が生まれそう」という話に根拠はありません.歴史的にも安定化政策が行われるようになった戦後の方が企業部門の生産性向上は顕著です.
 そして本当に低生産性企業を「シバキ上げ」たいのなら,その最良の手段は高圧経済でしょう.人手不足と賃金の高騰は高生産性産業への「人の移動」を通じて産業構造の転換を促します.これはこれで地域経済では深刻な課題なのですが...少なくとも生産性関係なしに財務内容(負債依存度)で企業淘汰を進めるよりもよほどに論理的です.

 また,「低金利を続けると円安が止まらない(=もっと円安になっちゃう)」という人がいます.正直この理解度で相場張ってる人...危ないからすぐ外為とか証券の口座解約して銀行預金にした方がいいと思うよ(おおげさ).


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