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震災後の経済政策+経済論争の転換点

 元日からの大規模震災について,いまだ行方不明者も多く,親族・知人の消息に不安のある方も少なくないと存じます.また,伝聞ではありますが地域によって現状に大きな差があり--すでに個人ボランティアを必要としている地域がある一方で,とても素人が現地入りする状況ではないところもある.

 私たち全員にとって,日本にとっての大事であるからこそ「震災ハイ」になるのではなくーー心を落ち着けてできることをしていきましょう.

 どのような形で復旧・復興に寄与できるのか.復興のための予算規模がどれだけになるのかは徐々に蓄積される情報のなかで徐々に明らかになっていきます.
 復興の財源についてはやくも「復興増税反対」といった主張を見かけることがあります.これは大分にミスリードです.現在,主要政党から「復興増税」といった主張はでていません.岸田政権はもとより,自民・公明の与党二党からも復興増税の議論は出ていない.そのため,復興増税反対!との言明はいまのところ単なる藁人形論法になっています.

 一方で,立憲民主党衆院議員の米山隆一氏の以下の提言が物議を醸しています.今必要な提言なのか系の苦言はさておき,数ヶ月後の重要論点であり,私はこの論点では米山氏の主張は正論だと考えています.

しかし,批判派・賛同派ともにちょっと論点を勘違いしているように感じます.批判派の「小集落を見捨てるのか」という主張も,好意的に捉える主張の「これからはコンパクトシティ」といった主張も問題の所在を見誤っています.(そして米山氏の発言は新潟県知事経験者であるという文脈の中で捉えるべきです)

 大前提として,日本国民は居住の自由(憲法第22条第1項)を保障されています.県知事経験者がこの原則を忘れて発言しているとは思われません.その意味で,米山氏の発言を自由権を侵すもの--例えば強制移住の提言ととらえるのは曲解でしょう.
 そして,米山氏の「復興より移住を」という主張は中山間地域等の集落を消し去るという主張ではない.むしろ,集落(の何か)を維持するためにこそ移住,なかでも集団移転が必要なのです.

 本日は集落移転問題について,何が問題で何を解決するための政策が必要なのかを整理しましょう.そして,これと類似のテーマが今年後半あたりにに経済論争の焦点となるとの予見についてお話ししたいと思います.

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