【飯田線各駅訪問】57 下山村駅
永遠ではない地方鉄道の運命
あれはいつの記憶だろう。たしか、初めて“飯田線秘境駅号”に乗って当駅を通過したときのことだ。駅の待合室が、雑誌で見た私の知っているものではなく、真新しい濃青のものになっていた。待合室や駅舎は、永遠のものではない。いつかは建て直される。それを初めて私に知らせたのが、この駅だ。
ここ下山村は、長野県飯田市の鼎地区と松尾地区の間にある、利用者は比較的少ない地味な無人駅。しかしこの付近の線形状、当駅から伊那上郷駅までの間は「電車よりも自分で走って行った方が早い」と有名な「下山ダッシュ」区間で、そのブームによりこの駅名も広まったかのように思われた。しかし、そのせいで多くの人は当駅を「下山駅」と呼ぶようになり、飯田線ファンとしては正しく駅名を覚えて欲しいと少々不満を感じるのである。
JR東海からしたら、下手な流行りでこの区間を歩かれるよりもその区間に乗客を乗せてその分のお金をとったほうが良いのだろう。逆に言えば、その流行りのせいで松尾地区以南の乗客を逃してしまう結果となり、伊那八幡駅の利用者があまり伸びない。現に私の知人で、伊那八幡駅の近くに住んでいるものの電車の方が通学に時間がかかってしまうから歩いて登下校している人がいる。
こういったように「下山ダッシュ」に対して私は否定的な見方をしているものの、一応飯田線の銘所なのだから、一度くらいは『下山村ダッシュ』をやってみたいと思う私であった。
2024.01
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