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2024年3月の記事一覧
小説│人形・岬の古城・海に沈んだ透明な小舟
人形
大時計の文字盤は、両手を広げたぐらいの幅があった。そのわりには軽く、少しの力で横にずらすことができた。十二の数字の真上あたりを支点に、振り子のようにスライドし、カチリと音を立てて止まった。
文字盤の後ろには、ちょうど人が通れるほどの長方形の穴が開いていた。そこを通り抜けると、大きな歯車が並んでいた。時計を動かす機構にしては、歯車の数が多いように思えた。他の用途があるのだろうか。
人形
大時計の文字盤は、両手を広げたぐらいの幅があった。そのわりには軽く、少しの力で横にずらすことができた。十二の数字の真上あたりを支点に、振り子のようにスライドし、カチリと音を立てて止まった。
文字盤の後ろには、ちょうど人が通れるほどの長方形の穴が開いていた。そこを通り抜けると、大きな歯車が並んでいた。時計を動かす機構にしては、歯車の数が多いように思えた。他の用途があるのだろうか。