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映画「CUBE」を観た話

先日、「CUBE」という映画を観ました。

前々から気になってたタイトルでしたが、最近Amazon PrimeのPrime Videoで見放題になってたので、これはいい機会だということで視聴。

結論として、とてもいい映像体験をすることができました。

と同時に、色々と脳内で考えが浮かんだので、今回はCUBEについての散文をつらつらと書き連ねようと思います。

なお、本文の性質上、内容のネタバレが含まれておりますので、ご了承くださいませ。


本作「CUBE」は、1997年制作のカナダ映画。

ジャンルとしては、SF/サスペンス/ホラー辺りに分類できそうですね。

監督はヴィンチェンゾ・ナタリ。

最近ではドラマ版「ハンニバル」や、ドラマ「Westworld」でも監督を努められている方のようです。

制作費は365,000カナダドル。

日本円に直すと、レートを80円で換算した際に29,200,000円。

映画の制作費の平均予算が数千万〜数億辺りといわれているので、本作が低予算で制作されたことになりますね。

映画の内容も、ザックリ中身を言っちゃうなら、

「謎の立方体の空間から逃げ出そうと頑張る」

ホントこれに尽きちゃいます。捻ったストーリー等もなく、ただただ閉塞的な空間が映されるだけ。

しかし、低予算と侮るなかれ、本作はアイデアに溢れた展開で観る人の心を揺さぶってきます。

ということで、前情報はこのくらいにして、早速内容について語っていきましょう。


一人の男が、謎の立方体の空間で目覚めるところから物語は始まります。

立方体の各面の中央に、ハッチ式の扉が取り付けられている。

ハッチを反時計回りに回すと、扉が開き、別の部屋へ移動できるように。

男が部屋へ降り立ったその刹那…

トラップが作動。網状のワイヤーに切り裂かれ、男は細切れになってしまいます。

「バイオハザード」のレーザートラップ、あるいは「スーパーくいしん坊」のハープイカ寿司か、唐突に人間がサイコロステーキ状になって絶命する瞬間はショッキングです。

であると同時に、観る側へ「この立方体の空間にはトラップが仕掛けられており、それに引っかかると命を落とす」という事実をまざまざと見せつけてきます。

この1分程度しかない冒頭のシーンにより、この作品の内容を説明。と同時に説得力や緊張感を持たせることに成功しているのではないでしょうか。自分も、この冒頭のシーンで一発で心を奪われましたね。


その後、場面は数人の男女が閉じ込められている状況へ。各々は接点もなければ経歴もバラバラ。閉じ込められた理由も不明。立方体の中に隠された法則や、トラップの作動する仕組みを見出しながら先へ進む…が、途中で命を落としてしまうメンバーが現れ、男女は更に恐怖や絶望に囚われていき、極限状態に追い込まれていく…

このように、ただただ閉塞的かつ理不尽なシチュエーションを突きつけられます。緊張感が終始張り詰めているので、90分という時間でも結構体力を持っていかれた気がしました。

閉鎖的な空間で展開されるホラーであれば、「SAW」の一作目、最近であれば「ジェーン・ドウの解剖」等が挙げられるのではないでしょうか?この辺りの作品は私も好きな作品なので、なんとなく似ていると感じた次第です。

しかし、上記の作品と異なる部分は、「理不尽さ」ではないか、と感じました。

この作品、結局最後まで目的や経緯、原因等が謎のまま終わるんですよ。置いてけぼりなんですよ。

「SAW」であればジグソウの存在、「ジェーン・ドウの解剖」であれば運ばれた身元不明の女性の遺体を軸に物語が展開されます。

しかし、「CUBE」は謎が謎のまま進んでいきます。誰が何の為にどうして彼らを箱に閉じ込めたのか、全く説明がありません。続編を観れば明らかになるのでしょうが、この作品の中では一切が謎のままなので、作品の性質も相まって観客の胸にモヤモヤとしたやりきれなさを残します。

そして、終盤は極限状態に陥った男が狂っていく様が描かれます。この男がホントにヤバいヤツで、元々持っていた暴力性や自己中心的な部分が剥き出しになります。こういった人間の剥き出しになった狂気の部分も、本作を魅力的な作品足らしめているのでしょうね。こういった、狂気に取り憑かれた人間を見る度に、本当に恐ろしいのは人間なのかもしれないな、と思ってしまいますね。

ラストもどこかやり切れない終わり方。故に、見終わった後は胸にモヤモヤとしたモノが残ります。だからこそ、強烈に記憶に残る作品なのでしょう。


以上のように、長々と散文を書き連ねましたが、映画「CUBE」はオススメの一本です。

作品の性質上、ストーリーや細やかな伏線を求めると火傷するかもしれません。

しかし、それを補うアイデアと魅せ方が魅力的です。お時間がございましたら、是非ともご鑑賞をば。

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