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hirotyon(ヒロットヨン)さんのオカルト?エッセイコミックが面白い

同業者のススメ

漫画原作者仲間の星野茂樹さんが盛大に薦めていたhirotyon(ヒロットヨン)さんのマンガを読みました。noteで活動されているマンガ家さんで、本業は飲食店経営。もう二度と描かないと誓い一度はペンを折ったものの、今、本業の傍らnoteに新作をアップしてらっしゃる方。
星野さんの熱いレビューはコチラ(👇)からどうぞ。

「巧さ」を感じるエッセイコミック

「ハウス オブ ザ で」は、ネタバレしちゃいますけどPMS・PMDDに悩むhirotyon(ヒロットヨン)さんの奥さんの話で、早い話が夫婦の実生活を描いたエッセイコミックシリーズ(全12話)。
しかし作者持ち前のホラー映画好きがにじみ出る第1話から数話の描写は、完全にB級ホラー映画の迫力です。
絵は正直「キレイ」とは言い難い。エッセイコミックでよく見られるヘタウマ感覚。だけれど、コマ運びや演出、描写力は非常に巧みで、“伝える”という意味ではかなり達者だと思いました。
長尺のセリフをダレずに読ませるため、ただの電話の会話を講談仕立てにする演出は「やりやがったな!!」と舌打ちしました。巧い。

リアルかホラーかオカルトか

そしてメインのキャラクターである「奥さん」のキャラ立ちがすごい。
沖縄出身、おばあちゃんはユタ(沖縄の霊媒師)。その家系のせいか、オカルトじみたエピソードには枚挙のいとまがない。
そんな奥さんの身の回りで起きた“少し不思議”な話をまとめたのが――

「voice of living dead」(全10話)。

hirotyon(ヒロットヨン)さん自身はオカルト否定派のようですが、ホラー映画やオカルト映画は大好きな様子。
こっちはエッセイコミックのつもりで読んでると、いつの間にか“アッチの世界”に迷い込み、リアルなのかフィクションなのか、メタフィクションなのか、それともやっぱり現実のことをそのまま描いてるだけなのか。そのすべてが侵食しあい、ただのエッセイコミックにとどまらない、文字通りフシギな魅力となっている。
(この辺りは、星野さんの言う「シームレスな揺らぎ」ですね。)

解せぬ!このマンガ、もっと広められるべき!

「ハウス オブ ザ で」「voice of living dead」は完結し、hirotyon(ヒロットヨン)さんは現在「コリアン ダーク シティ」を連載中。12月末時点で20話と長編になっています。まだ終わる気配はありません。
しかしご本人と奥さんが主役のエッセイコミックの体はそのままに、奥さんのルーツ(与那国島)探しの旅が主軸となって、少しフシギな夫婦の日常が現在進行形で綴られている。
……というか沖縄の話なのに、なぜ「コリアン ダーク シティ」なのか。韓国ひとつも出てこねーし!と思っていると、タイトルの謎解きもまた「コリアン ダーク シティ」の軸のひとつとわかる。そんなミステリーも添えつつ――

(👆2019年12月25日更新の最新話です。ここから読まないこと!w)
演出もまた巧みさが増し、よりマンガらしいケレン味が利いてきました。
今、一番更新を楽しみにしているマンガです。
……が、ひとつだけ私、気になることが。

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どうしてこんな面白いマンガの「スキ」や、作者のフォロワー数がたったフタ桁しかないんじゃ!!!!???

こういう面白いマンガに気づかずして何がマンガ読みかと、多少でもマンガ読みを自認する人は反省してください。
(ま、私も星野さんに教えてもらってなかったら知らなかったわけですが。)

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