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南日本新聞コラム「南点」2012年

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2012年1〜6月に南日本新聞のコラム「南点」に連載したエッセイ11編。
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2024年4月の記事一覧

表象文化研究とは

専門の表象文化研究について質問を受けることがある。従来の文学研究は言語表象のみを扱ってい…

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ディケンズ生誕200年

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アルベルト・ジャコメッティの彫刻作品を初めて見たのは、確か二十歳の頃だったと思う。最初の…

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若冲の現代性

近年の若冲ブームはここ十年くらいのものだそうだ。美術史をほとんど知らない若い人たちが若冲の不思議な魅力に惹き付けられているという点は注目に値する。 若冲の再評価は辻惟雄氏の「奇想の系譜」(1970年刊)から始まる。「美術手帳」に連載されていた経緯もあるだろうが、辻氏が現代の若者文化の感性で若冲を評価している点が面白い。「『蓮池遊鮎図』の蓮のように、海底都市とか、火星の植物とかいったSF的な連想を喚び起すものや、あるいは『老松白鳳図』の鳳凰の尾羽の桃色のハート型の乱舞のように