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※この話はフィクションです
私の記憶は土地に結びつく
元彼とめでたいことがある度に行っていた三軒茶屋の鉄板焼き屋さんがある
予約をするといつも入り口手前の鉄板の前に座り
はじめにサラダと季節の焼き物を頼んだら
締めには海老とほうれん草の卵とじを食べる
ルーティンだった
別れて以来、ひとりでも他の人とも行けていない
三軒茶屋までは行けるのに、その鉄板焼き屋さんの前に行くだけで動悸がする、涙が目の端にたまって視界がぼやける
元彼と復縁したいわけではない
未練があるわけではない
(既に別れて3年以上経っている)
ただ結婚して子供がいる元彼と
いつまでもひとりでいる自分
ひとり置いていかれている気がして
前に進めていない気がして
元彼と私を知っている周囲の目が気になって
焦りと恐怖が襲ってくる
美味しかった料理たちよりも
地縛霊のように記憶が苦々しいトラウマに化けてお店への行き手を阻む
私の記憶は土地に根付いてしまう癖があると気づいた瞬間だった
わかったからこそ
今回の縁切りは自宅の遠くである必要があった
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東京から離れ 本の世界に旅行に行きたい =✈︎