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世界の共通語

少し前の福岡伸一さんのコラム。
気軽に読めて、しかも含蓄もあって唸ってしまう。

 ある大きな分子生物学の国際学会での出来事。一日目は、学会を主導する世界的に有名な重鎮科学者によるキー・ノート・アドレス(基調講演)から開始された。神妙に聞き耳をたてる聴衆たち。当然のことながら、国際学会の使用言語は英語である。重鎮はおもむろに話しはじめた。「科学の世界の共通語は英語ではありません」

 会場は水を打ったようにしんとした。重鎮はドイツ系スイス人。その彼のしゃべる英語はあまりうまくない。まさか、いまさら、科学はドイツ語に限る、なんてのたまうんじゃないだろうな。重鎮が次になんというか。視線が一斉に集中した。

 「科学の世界の共通語は」一呼吸おいてから彼はこういった。「へたな英語(poor English)です。私のようにね。世界中からお集まりの皆さん、どうか活発な議論を交わしてください」。すばらしい開会宣言に会場は大きな拍手につつまれた。

「科学の世界の共通語」(福岡伸一)2008.7.10 日本経済新聞 夕刊 あすへの話題


私もさんざん poor Englishでコミュニケーションとってきた。
でも、通じるときと、通じないときがある。


英語の場合、発音やイントネーションを変えただけで、解決する場合も多い。

例えば、水が欲しいならウオーターではなく「わら
アイスクリームだってヴァニラじゃなくて、「ゔぁーーら」
「カネ使った」とは米国のコネチカットのこと。


でも、何かもっと別のコツがあると思ってた。

海外で学校に入り未だろくに英語が喋れない頃、数学のテストでクラス一番になり教室がどよめいた。

逆に、何年か暮らして、だいぶ英語も流暢になってきたのにいくら話ても一向にらちがあかないことも。

ある日、ふと気がついた。
うまく意思疎通できるときには共通していることがあった。

それは、話の筋が通っているかどうか、
言っていることが論理的かどうか。
数学は、式で示せて、たいてい答えも一つ。

それ以来、私は、
世界の共通語は「論理ロジック」だと信じている。

力を注いだほうがいいのは、巧みな言葉使いではなく、話の順番や流れストーリーだろう。

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