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宅配便は、「スピードカルテル」を結んだ方が良い。

宅配便業界が異常だと感じる。翌日配送は当たり前となり、当日配送まで行っている。

ショップからの要望もあるかもしれないが、ライバルに勝つために、自ら身を削っているのではないか。さらに、価格競争も熾烈で、郵便局の存在さえも脅かすまでに発展している。

利用者にとっては、安くて、早くて、便利かもしれないが、そこまでは望んでいない。だが、提示されれば、そちらを選んでしまうだろう。

そんな競争の激化が、やはりと言うべきか、さまざまな問題を生じさせている。

クール便での荷物の扱いが、粗雑になっている。保冷用コンテナの扉を開けたまま、荷物の出し入れを行い、中身を劣化させてしまったのである。これは、スピードを重視するがために、手を抜いてしまった結果だと言える。

また、メール便が増えたことで、配送に時間が掛かるので、面倒だと思った担当者が、荷物を廃棄したり、自宅に放置した事例もある。

これらは、当然、指示を守らなかった従業員の責任なのだが、サービスを向上させるために、従業員に無理をさせているのではないかと、容易に想像できる。

異常なまでのサービス競争は、かえって顧客サービスを劣化させる。「安くて、早くて」より大切なのは、「確実」「安全」である。

“ほどほど”のスピードで、“間違いなく”届くことの方が重要なのである。競争のために、客が求めていないサービスを提供されても、嬉しくはない。

過度の競争は、「確実」「安全」を崩壊させ、客からの信頼を失墜させるものである。ここは、業界内の取り決めを作ってはどうか。

「これ以上、安くしない」「これ以上、早く配送しない」。法律上は問題のある“カルテル”かもしれないが、過剰な競争による消費者被害をなくすためには、規制対象外とすべきである。

かつては許されていた「合理化カルテル」を復活させてはどうか。技術向上・品質改善のために必要なカルテルならば、公正取引委員会の認可によって行うことができたのである。特に配送のスピードに関しては、安全面からもカルテルを結ぶ方が良い。

客にとって一番大切なことは何か。それを忘れてはいけない。

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