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『シーン△』

男 「ここ、今にいたって思うんですけど。自分が立ってる場所がどういうところなのかってわかってるのかなあって、わからなくなることがあって、でまあ、そういう話です今からするのは。」

男 「そういう話です、というのは、うん。話をしてそれがどう伝わるか、 僕にはわからないわけで。それが表現の自由ってやつと関係あるのかなあと考え始めて、まんまと自分の立場を見失うことになるっていう そういう話です。脱線したように見せかけて実は筋から外れてないみたいな。説得力持たせる話し方ってどんなですかねって訊いてみても わからないですよね。そう思ったところからシーンが始まります。」

男 「シーンって何のことですか。本に沿って喋ってるだけなんで、それらしいものがなくて、だからなんでこれ言わされたんだろっていう。 シーンってことかな、シーン、つって。読んだ限りだとこれをやることの意義が見当たらなくて、 あーすげー、つまんねえなーって。言ったんですけど。
なかなか勇気出しましたよね。結果は見てのとおりですけど。」

男 「嘘です。説明を重ねていく度に、嘘を吐かなきゃいけないわけで。 だから信用しちゃダメですよっていわなきゃいけないんで。」

男 「昔、人間は自分の言葉で喋ってるのかなって思ってて、そんなのそうじゃん、当たり前じゃんとか、そうじゃなくて。
赤ちゃんが言葉を話し始めるのは、ただの物真似でそれは自分の意思なのか。意思がどうこうじゃなくて、学習した言葉を喋るのはそれは、 自分の言葉で喋るってことなのかなとかいう。」

男 「ここ、今にいたって思うんですけど。自分が立ってる場所がどうい うところなのかってわかってるのかなあって、わからなくなることがあって、でまあ、そういう話でした今したのは。」


〇後書き
モノローグで5分くらいと思って書きました。5分だと長いかな、3分かな。ト書きは削ってます。
文章としてというより、誰かが演じることの面白さを感じられるものを書いてみたいなあと思ってます。
そういうものに近づけられていたらいいです。

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