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ツイッターでフォローしてくれているバンドさんの曲をひたすらに褒めたい。

フォロワーにバンドマンが沢山いる。

「まあ曲がりなりにも音楽ライターなんだから、当たり前だよなあ」
「いいねえ〜新人インディーズバンド漁り放題じゃん!」
「まじでまじで!こりゃワンチャンあるっしょ!?ゲッヘッヘッヘッヘ」

以上は、一行目の記述に対する我が脳内オーディエンスの反応である。まあ確かに、音楽ライターの端くれとして主に邦楽ロックについて色々講釈を垂れる事でお金を頂いている身としては当たり前っちゃあ当たり前だし、有難い事だと思っている。僕なんぞに影響力なんかまだまだゼロに等しいだろうが、それはそれとして励みにしたいと思う。最後のワンチャン野郎は一回黙ろうか。

とは言え、普段の僕は単なるロックバンドオタクだ。僕の文章を読んでくださっている方で、特にツイッターでも絡んでくださる方はよくよくご存知かもしれないが、元々二次元オタクだったせいかハマりこむと同じバンドの曲ばかり聴きまくり続けてしまうし、あらゆる方向から分析しまくって語りまくる。とあるロックバンドのボーカル(※五十嵐はロックバンドのボーカルフェチである。それはもうひどいもので、「巨乳フェチ」「眼鏡っ子フェチ」「美脚フェチ」みたいなレベルのねっとりしたフェチだ)に惚れ込むと、彼のソングライティングについてばかり考え続けて日が暮れる始末だ。

なので、フォロワーさんの中から「こ、これは……!?」と言うバンドに出会ってもなかなか皆さんにご紹介する場が設けられないのだ。

しかしこれは音楽ライターとして食っていく事を胸に刻みし十字架として生きているものとしては死活問題である。使命感と冒険心をちっぽけなオタク気質如きに台無しにされたくはない。

と言うわけで、数多いらっしゃるフォロワーのバンドさんの曲をひたすら褒める文章を書きました。今回は、最近よく聴いていて特に素晴らしいと思ったバンドさん達の楽曲から四曲を取り上げたいと思います。

きっと僕なんぞがこんなとこでくだを巻く必要もないぐらい、そのうちいつか突然に売れてしまいそうなバンドばかりなのだけれど。


◼コハクノアカリ『パレードがやってくる』


今年マウントレーニアホールにて既にワンマンライブも成功させているらしい、コハクノアカリさん。ギター担当の歩さんにフォローして頂いております。

あのね、まず音が綺麗。聴いてみて。イントロから凄いから。遠くからパレードが近づいてくるサウンドスケープがはっきり見えてくる。

打ち込みのキラキラした音が印象的なイントロから、バンドサウンドとヴァイオリンがナチュラルに馴染むメロに流れていくのだけれど、使っている音は多いのに美しく統率が取れていて、とても耳に心地好い。良い意味で音のひとつひとつが粒立ちすぎていないので、バンド音楽を聴いていると言うよりは映画を観ているような、絵本をめくっているような印象。展開も壮大で、ヴァイオリンが効いているせいもあってかオーケストラみたいなイメージも湧いてくる。

そしてボーカルfumiさんの優しい歌声!優しく柔らかく、それでいてローがしっかりしているので深みがあって安心して聴いていられる。最早母性すら感じる彼女の歌声が、まるでストーリーテラーのように清々しく優しいノスタルジア漂う楽曲を引っ張っていってくれる。

楽曲もMVもとにかくクオリティが高い!今すぐ売れそうなので早く聴いといた方がいいですよ。合唱曲とかにも向いていそうだなあ。

因みに、ギターの歩さんは作詞作曲を主に担当されているようで、日頃のツイートからメンバーへの愛をとてもとても感じます。良い人そう。


◼Alica『環状八号線に夢は失く』


こちらも女性ボーカルバンド、Alicaさん。

2016年結成となかなか若いバンドながら、僕も大好きな“音楽系イラストレーター”フクザワさんの個展の会場BGMも手がけていたりして、なかなかやり手かもしれない。

あどけなさのあるボーカル・あかねさんのハイトーンボイスが清々しくも狂おしくてひたすらエモいセンチメンタルの権化みたいな鍵盤がさり気なく存在感を示しているのが非常によろしい。

こちらはコハクさんとは違ってゴリゴリのギターロック、ひとつひとつのバンドサウンドが美しく粒立っていて、聴いているだけで耳の奥に風が吹いたような清涼感と寂寞感が凄い。特に大サビ手前から曲終わりまでの流れが凄まじい。エモすぎてドラエモん呼びたくなるよのび太くん。

疾走感と涙の気配を同時に感じるメロディと歌詞からは、生ぬるい春一番の吹く夕暮れのイメージが漂う。もう春一番の季節は終わっちゃったけれど、今からでも遅くはないので夕焼けが染める下北沢を歩きながら聴いてみてください。


◼BACKDAV『Velonic』

ギタリフ超カッコいい!!!!!!

はい、聴いた瞬間皆さんこう叫ぶと思います!

2017年四月結成のBACKDAVさん。そう、まだ結成してたったの一年ちょっとしか経ってないの!めちゃくちゃ若い。だけどもう売れそうな香りがプンプンしています。カッコいい。

流行りのゴリゴリスタイリッシュギターロックで強そうな感じだけれど、この強そうな印象は、決して女子ウケしそうなサウンドのカッコ良さだとか、メンバーのいかにもイケメンっぽい佇まいから感ぜられるものではないと思う。

何故なら、僕はこの曲から演歌のような情念を感じたからだ。

和音階を巧みに交えた歌メロと歌詞の言葉選びが、特に“演歌”を感じるポイント。歌謡曲っぽくもあるかもしれない。決していわゆる「歌謡ロック」と言うやつではないのだけれど。

歌舞伎や浄瑠璃の御家騒動モノや心中モノなんかからもわかると思うけれど、日本人って古来よりジットリした「情念」を美しいと思う美意識を持っていると思っていて、歌謡曲や日本語ロックが魅力的なのはその日本人古来の美意識を宿しているからだと僕は思っている。そう言う「湿った感情の美しさ」みたいなものを描くのが上手なバンドなのかなあ、と思った。

ヒカルさんの今どきっぽい高めのボーカルが、情念のジットリ感をすこーしだけ薄めてくれてるのも良い。時々垣間見える独特の震えみたいなニュアンスがほんのり色っぽい。

とにかくカッコいい。好きです。


◼ノウルシ『the girl is insomnia』


シュゲ民の皆さん、お待たせしました!!!!!!良いシューゲイザーバンド、ここにいます!!!

ノウルシさん。バンド名からして耽美の園に生まれた感じがして最高。そして公式ツイッターアカウントの紹介文に添えられた一文。
「遅効性の有毒植物」
……成程ねえ、漆だものね。素敵だ。

僕が浅学なせいもあるかもだけれど、日本のロックバンドで真正面からシューゲイザーを取り入れているバンドってなかなか多くなくて、あのノイジーな感じを美しく表現するには日本のライブハウスシーンでは物足りないからかなあ、なんて思ったりする。ほら、音圧(電力)の違いとか(あまりに物理的)。

だから余計に、ノウルシさんみたいなバンドには大きくなってほしい。だってホールで聴きたいもの。それぐらい美しいです。

イントロのノイズからしてとても綺麗に映えていて、一切騒々しい印象は受けない。展開と言い歌詞と言い、確固たる世界観の物語を前提に作られている印象で圧倒される。The cabsとか、People_In_The_Boxとか好きなひとも好きそうだね。

白いサラサラの微粒子の渦に飲み込まれるような、柔らかな怒涛の轟音。その上で軽やかに踊るボーカルはハイとローの印象が大きく異なるのが独特で素敵。まるで楽器のひとつのようでありながら透明感のある高音と、ギムナジウムの少年みたいな優しくあどけない低音。高音が時々感情が溢れ出すように捻れるのがまたエモい。知らない国の民謡のような、異国情緒漂う歌メロもとても好きです。最後突然の朗読タイムが始まるのも映画の主人公のモノローグのようで趣深いので、ビビらずに聴いてほしい。

ボーカルのタジリシュウヘイさんはツイートの内容も好きで、時々こっそり読ませて頂いています。とてもはっとさせられる事が多く、「このひとの書いた詩だなあ」と思う。あと以前道行くひとに「女性と間違われる事ありません?」って聞かれたと仰っていたように記憶しているのだけれど、なんとなくわかる。


勢いでここまで突っ走って来たけれど、皆さんついて来れているだろうか。お気に入りのインディーズバンドが見つかったなら幸いである。

こうしている間にもまた、世界の何処かで素晴らしいバンドが新たに産声を上げているかもしれない。もっともっと知っていきたいし、皆さんにも知って頂きたいので、是非ともまたこのような場で紹介していきたいと思う。ワンチャンあるかもしれないし。何のチャンスやねんて。

かねてより構想しておりました本やZINEの制作、そして日々のおやつ代などに活かしたいと思います。ライターとしてのお仕事の依頼などもTwitterのDMより頂けますと、光の魔法であなたを照らします。 →https://twitter.com/igaigausagi