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探究授業案4「コンセンサスゲーム」 vol.519

皆さんはコンセンサスゲームをご存知でしょうか?

コンセンサスとは、意見の合致や同意という意味があります。

要はそれぞれの意見を合わせて一つの意見を生み出す。

対話のゲームのようなものです。

あくまでもディベートやプレゼン大会といったものではありません。

雪山での遭難、砂漠での遭難、難破船での選択、、、

さまざまな形が存在していますが、もっとも有名なのはNASAゲームではないでしょうか?

月面からの脱出として必要なものを選択するというもの。

NASAが考案したゲームということで、このような名前がついています。

NASAゲームの概要

簡単にNASAゲームの概要を説明します。

自分は宇宙船に乗っていて、月面に着陸をしようとしている宇宙飛行士の一人です。

月面にはすでに母船がいますが、機械がエラーを起こし母船から約300km離れた場所に墜落してしまいました。墜落時の衝撃で宇宙船は壊れてしまい、動かなくなってしまいました。

宇宙船に残ったのは下記の15アイテムです。

母船に無事に戻るために、重要度の高いものから順位をつけていきます。

  1. マッチ(箱付き)

  2. 宇宙食

  3. ナイロン製ロープ(15m)

  4. パラシュート

  5. ソーラー発電式携帯用ヒーター

  6. 45口径ピストル(2丁)

  7. 粉ミルク(1箱)

  8. 酸素ボンベ(2本)

  9. 月面用の星座表

  10. 自動で膨らむ救命ボート

  11. 方位磁石

  12. 水(20リットル)

  13. 照明弾

  14. 注射器入り救急箱

  15. ソーラー発電式FM送受信機

いろんなやり方がありますが、オーソドックスなのはまず一人一人が自分の中で重要度を決めて、そのあとに班で決定していくというもの。

このNASAゲームを工夫していくというのが今回考案したい授業案です。

第2の矢、第3の矢

このNASAゲーム、まさに班での話し合い時にコンセンサスが生まれるのですが、あえてこのゲームの難易度を変えたり、さまざまな視点から展開するというやり方をします。

パターン1

各々の優先順位を記したものをシャッフルし、改めて引いた誰のか分からない優先順位を主張させる。

👆ディベート大会のようなもので、まず第一段階として自分とは異なる意見があるというのを、視覚的に分かりやすくさせます。

対話の中ですと、いわゆる空気を読むということが発生してしまい、あまりコンセンサスにまで行きつかないときがあるので、この形で行います。

パターン2

班の中で順位を決めるというところまでは、一般的なNASAゲームに乗っ取って行い、最後だけ班でプレゼンをするというもの。

この際には、説得ではなく納得をさせる。

傍聴者の自分の意見を少しでも変えたくなるようなプレゼンをして、最後に再度班の中で順位を決めていくというもの。

その際に何がどれくらい変わったのか、元から変わっているのかどうかを共有して、視野の広がりなどを体感する。

パターン3

15のアイテムを全員に掲示せずに、一人一人にバラバラにアイテムを一つ渡す。

アイテムの種類や数も伝えない。

その中で、カードを持っている人たちは出会った人とお互いにカードを見せ合い、互いに必要だと感じたら、班を組んでいく。

逆に必要がないといった場合には、その場でサヨナラをして二度と互いに班を組むことはできなくなる。

そんな中で必要だと思うアイテム上位5位までで互いに班を作る。

自分自身の価値を相手に伝える能力を養いつつも、互いの受容を高めるようなゲームにする。

すべては工夫次第

結局のところ、ありきたりなものでも工夫次第で何とでも必要な力を育てられるようなものに変化していくのです。

ともすれば、探究学習は探究をするために何かを始めたり探したりするのではなく、今学んでいる、今やっていることに探究的価値を見出し、それをいかに伸長していくかにかかっているのではないでしょうか。

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