『イミテーション・ゲーム』普通を選ぶな、普通と思うな vol.540
理系的な映画『イミテーション・ゲーム』。
最初に聞いた時は、単純なる謎解き映画かと思っていましたがそれは間違いでした。
この映画は、真実かどうかもわからなくなってしまっている、国家機密になっている、だけれども素晴らしい発明をし、現代の科学技術の発展に大きく寄与した人物、アラン・チューリングの伝記でした。
この時代ならではの苦悩、そして戦争という悲劇の中で動き出す歯車。
さまざまなことを感じられる映画でした。
この映画の感想を書いていきます。
天才の苦悩
この映画を通してずっと見えてきたのは天才の苦悩。
彼には彼の世界があり、見えている世界は果てしないハズなのに彼は人との関わりが非常に苦手。
おそらく、今であればなんかしらを持っているというのは見れば分かるのですが、この時代は誰にも受け入れられないものだったのでしょう。
〇〇だけをさせていればすごい人。
でも〇〇だけでは生きていけない。
非常に生きづらい世界だったのではないかなと思います。
むしろ、彼の特性でケンブリッジ大学特別教授まで上り詰められたこと自体がすごかったのでしょう。
誰かがあなたを支える
そんな彼は当然この政府の秘密組織のグループの中でも孤立してしまいます。
会話がうまくいかない。
通常であれば、「腹減らないか?」の一言でその裏には「ごはん一緒に食べに行こうぜ」が何となく含まれているのは分かります。
でも彼にはそれが分からない。
そんな彼にも理解者が現れます。
ジョンという女性です。
彼女はそんな彼の特性を理解していました。
そして徐々に彼女のおかげで、チームの中でもなじめるようになっていくのです。
彼はそれを望んでいなかったかもしれない。
それでも、最後のエニグマ解読時に見せた笑顔は、一人の時には絶対に見られなかったでしょう。
現実は実は非現実的な中に隠れている
しかし、エニグマも解読し一件落着かと思いきや、実はその周りのチームはスパイであったことが分かったのです。
それも、それを取り締まっていた自分の上司すらも、それを理解したうえで働いている。
人というものが信じられなくなりそうな中、自分の同性愛者だという事実も相手に握られてしまいます。
当時、同性愛はこの国において罪でした。
そんな居心地の悪い状況下で戦争終結まで働き、戦争が終了後はその秘密が明かされることなく集結していきました。
すべてを国家機密として明るみに出されることもなく。
このエニグマ解読から始まったアランチューリングの功績は、今のパソコンの原型になっています。
しかも、彼はその先にあるAIにまで思考を届かせていたのです。
そんな彼の晩年は、同性愛によって罪を問われ、去勢手術としてホルモン注射をくり返され、半ば廃人のようになっていってしまいました。
「時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる」
この偉業はその後、数十年間明るみには出ませんでした。
実は私たちの知らない中に何か偉大な発見があるのかもしれません。
そして、誰もがそんな可能性を秘めているのかもしれません。
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