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『トレーニングデイ』欲に染まる破綻の道を進まずに信念を光り続ける vol.508

悪と欲と信念。

そんな3つの関係について語りかけてくるような映画を見ました。

ロサンゼルス市警の麻薬取締課に配属となった新人刑事ジェイクは、ベテラン刑事のアロンソとコンビを組み、麻薬捜査のいろはを教え込まれる。数々の大事件を解決し、麻薬に絡むあらゆることを熟知しているカリスマ刑事アロンソは、ジェイクの手本であり憧れの存在。「かよわい子羊でいるのか。獰猛な狼になるのか。それを選べ」と忠告するアロンソは、犯罪摘発のためにはいともたやすく自ら法を犯す。とまどうジェイクをよそに、アロンソの行動はさらにエスカレートしていく……。

https://eiga.com/movie/51379/

染まるは簡単、自分の疑念に自信をもつ

悪を持って悪を制すとはまさにこのことで、蔓延っている麻薬社会を自らも犯罪に手を染めながらアロソンは解決します。

しかし、それをよく思わないジェイク。

警察官としてのあるべき姿をしっかりと念頭におきながらも何が正しいのか判断ができなくなっていきます。

そんな葛藤を描いた映画です。

ジェイク自身もいけないとはわかっていながら、自らも望まぬうちに実際に何度か犯罪に手を染めてしまっています。

運転中の飲酒、麻薬、ついカッとなって暴行者の首を絞めたり。

ただ単純に見ているうちは、トレーニングデイということもあり、少しずつジェイクがそんな社会をも理解して、立派な麻薬捜査官になっていくものだと思っていました。

しかし、浮かび続ける疑問点。

そこは超えられないという壁が次から次へと目の前にやってきます。

その疑念を振り払わずに馬鹿正直に見ていたからこそ、ジェイクは生き残れたのでしょう。

悪にも欲にも逆らえない

ただ、そんな悪党丸出しのアロソンですが、私はどこか憎めなくもありました。

作中に出てくる昔は俺もそうだったという発言。

おそらくアロソン自身もたくさんの経験をしていく中で、徐々に自分の正義心に汚点が入り続け最後には真っ黒になってしまったのでしょう。

そこには助けてくれる人も信じられるものもなかったのかもしれません。

ともなれば、最大の被害者はアロソンとも言えるでしょう。

彼はそんな立ち向かっても到底意味のない悪に対して、立ち向かうことに諦め、意味を見出せなくなり、自らの生ける中で自分の道を正義と信じて悪に手を染めていってしまったのでしょう。

行き着く先は

そんな人生を送ってきたアロソン。

いずれ自分の人生、自分という人間をわからなくなってしまったのでしょう。

もしかしたら、偽りの自分を演じ続け、その自分に飲まれてしまったのかもしれません。

最後には本来は自分の手中に収めていると思っていたスラムの人らですら、見放されてしまいます。

気づいた時には欲望に心を支配され、元の正義感などといったものはかけらもなくなってしまったのかもしれません。

しかし、そういう人生を選んだのもアロソンであり、そもそもその道しか彼には見えなくなってしまったのかもしれません。

ジェイクはたまたま自分の正義感に突き動かされ救った子がいたおかげで命拾いをしました。

ドラッグに酔ってまともな判断もできない中だったのにです。

この場面を同じようにアロソンが体験していたら、もしかしたら無視していたのかもしれません。

どんなに小さなことでも自分の信念に付き従って動けたのかどうか、そしてその信念を積み重ねてこれたのかどうか。

それが最後のニュースにどちらが名を連ねるかに変わったのでしょう。

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