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『スタンド・バイ・ミー』懐かしき日の友はいつもそばに vol.252

名作『スタンド・バイ・ミー』を見ました。

冒険心とあの幼いころのワクワク感と不安感が共存した不思議な感覚を思いだせる、そんな作品でした。

1959年オレゴンの小さな町。文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、行方不明になった少年が列車に轢かれて野ざらしになっているという情報を手にする。死体を発見すれば一躍ヒーローになれる!4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した・・・・・・。

スタンド・バイ・ミーと聞くと、有名なこの曲を思いだすのではないでしょうか?

なんでも、曲を聞いて感動した監督が映画のタイトルも半ば強引にスタンド・バイ・ミーにしたそうです。

私自身、この曲がこの映画の曲だとは知らなかったので、改めて歌詞を見て映画の内容を思いだすと、非常にいろんな情景が浮かんでくるなと思いました。

覚悟と成長

この映画は覚悟と成長を描いているように感じました。

作家になる夢を持っているゴーディ、頭がいいが育ちの悪い少年クリス、眼鏡をかけているテディ、ノロマで肥満児のバーン

それぞれ自分のアイデンティティがありますが、同時にコンプレックスも持っていました。

そんなコンプレックスと向き合いながら、4人は死体探しの旅に出るのです。

旅の道中でも同じように自分の弱いところと向き合います。

ゴーディは自分の女々しさと、クリスは自分の生い立ちと、テディは父親の存在、バーンは安定志向と。

お互いに似ても似て突かない4人だからこそ、その部分を互いに支え合い成長をしていくのでした。

この年代の子供らにとっては、たった30㎞の歩きでの旅でも、とてつもない大きな旅路。

ワクワク感とハラハラ感の共存した、少年時代の記憶が呼び起されました。

友達の存在

この映画の話の中でとても印象に残ったのが、小学校の友達はそこで終わり、永遠には続かないというようなことをクリスが言っていたところです。

確かに、よくよく考えれば分かることではあるのですがそれを分かったうえで、この子たちが仲良くしているのかと思うと、なんだか切ない気持ちにもなります。

それでも彼らは、互いに互いを心のよりどころとしながら、前に進み続けるのでした。

大人への憧れ、自分の周りにある社会への対抗心。

それらがあるものの、一人だけではそれにかなわない、だからこそ、4人で対抗する。

そんな、4人の友情は今の私たちが必要としている人間関係にも近いのかもしれません。

人生イベント

この映画は少年たちのリアルタイムで描かれているようにも感じますが、実は大人になったあとのゴーディの書く作家の話を追っているのです。

この4人は作中に出てきた言葉の通り、中学校からは少し疎遠な関係になってしまいます。

クリスは、この旅の中でのゴーディとの会話の中で覚悟を決め、町を出て勉強をして弁護士になったのでした。

そんなクリスがけんかの仲裁に入った際にのどをナイフで刺されたという話を聞いて、この話をゴーディが書き始めたのです。

まさに、「僕らを書け」といったクリスの言葉通り。

良くも悪くも、人の死などの転換期には人の行動が変わります。

結局、コーディとバーンがどうなったのかは分かりませんでしたが、これまで胸中にいたクリスがいなくなったことで、ゴーディはここでようやく一皮むけたのかもしれません。

そんな少年の成長の過去としてとらえるとこの映画はとても面白いものですね!

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