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MovieReview

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映画を見ての感じたことや想ったことなどをまとめています。
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2022年4月の記事一覧

『GATTACAガタカ』それは自分か他の誰かか vol.338

今回の映画会のテーマは『GATTACAガタカ』。 映画界は映画について評論するだけでなく、映画を通して人生を語り、映画の解釈をより深く、そして日常に落とし込める会です。 自分だけではなくて、参加者全員の意思がお互いに影響しあって、映画を一度見ただけで10回見たくらいの濃密さにしてくれます。 社会は統制されていくのかこの映画では遺伝子操作によって、より遺伝子的に優れた子を選べる時代。 病気の心配もない、体の心配もない、そんな子を人工的に選べる世界です。 そんな世界では

『万引き家族』環境と成長と自律と vol.336

ずっと気になっていた映画の一つ、『万引き家族』を見ました。 以前、半地下を見たこともあったので、割とすんなりと家族の違和感や変な雰囲気は飲み込むことができました。 果たしてこの映画は、私たちに何を伝えたかったのでしょうか。 家族だけど家族じゃないこの家族、一見すると貧乏家族で万引きで生計を立てていくしか術がないようにも見えますが、決してそんな極悪非道の一家というわけではありません。 家族の中には笑あり、話ありの普通の家族。 そこには微笑ましさすら感じてしまいます。

『MOTHER マザー』共依存の先にあるものとはvol.328

ただとにかく、心を暗くさせた映画でした。 映画『MOTHER マザー』。 まだ日本の中でも隠れているであろう、闇の部分、日の光の当たらない家庭に目を向けた映画です。 このような家庭がいることは分かっていながらも、そして、理解してはいるもののやはり映像として見てしまうと、本当に辛いものです。 育てられない母親たちこの映画を観てまず頭に浮かんだのはこの本です。 子どもはできるが、まっとうに育てられない。 そもそもまっとうとは何かと言われれば、それまででしょうが最低限度

『コーダ あいのうた』見えない世界でも見える世界にできる vol.321

先日の「第94回アカデミー賞」で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門を受賞した話題作を見に行きました。 心温かくも自分の理解の枠がいかに狭かったのか、そしてそこから生まれる苦悩をどれほどわかっていなかったのかも思い知らされました。 そして、家族愛の尊さ。 これは、心を揺さぶられると同時に自分の考え方を見直すきっかけにもなる大切な作品です。 聞こえないから手話?表現するための手話家族の中で唯一耳の聞こえるルビー。 しかし、耳が聞こえはするものの家族全員が聞こえなかったか