『MOTHER マザー』共依存の先にあるものとはvol.328
ただとにかく、心を暗くさせた映画でした。
映画『MOTHER マザー』。
まだ日本の中でも隠れているであろう、闇の部分、日の光の当たらない家庭に目を向けた映画です。
このような家庭がいることは分かっていながらも、そして、理解してはいるもののやはり映像として見てしまうと、本当に辛いものです。
育てられない母親たち
この映画を観てまず頭に浮かんだのはこの本です。
子どもはできるが、まっとうに育てられない。
そもそもまっとうとは何かと言われれば、それまででしょうが最低限度の生活すら保障できず、愛情を注げない母親たちが事実ベースで描かれています。
この本を読んだときも胸糞悪くなりましたが、この映画はまさにそれを映像化しています。
この映画も近いものがあります。
なんにせよ、世の中にはこういった家庭が顕在化されていないだけで、数多く存在するのです。
その事実を受け止め、どうできるのか。
正直、何もできない、支援も仕方が分からない。
といった部分が正直なところですが、子どもたちの芽が摘まれてしまう。
ここに本当に苦しさを感じてしまいます。
共依存の関係
この映画にも、先ほど紹介した本の中にも、この言葉は出てきます。
強依存で共依存です。
お互いに切っても切れない関係になってしまっているのです。
母親は一見自由気ままに生きているようですが、どこかで息子を心のよりどころとしています。
自分を守ってくれる道具のように扱っているかと思えば、急に頼り切ったりと息子なしでは生きられなくなっているのです。
息子も息子で母親への愛情不足が顕著に目立ちます。
時折見せる母の弱さに愛を感じ、母親から離れた方がいいとわかってはいるものの、愛情が歪んでしまい離れられずにいるのです。
そしてそれが最後に殺人事件へと発展させてしまうのです。
この共依存の難しいところは、相思相愛なところ。
互いに求めてしまうために、どちらかを話したとしても効果がないのです。
両者への同時の支援が必要ですが、それも今の社会制度ではなかなか追いきれない現状です。
どこに原因があるのか
このような問題の難しいところは、問題の原因がどこにあるのかがはっきりしないことにあります。
例え、そのときの関係を修復したとしても再発することなど数多くあります。
それは、これらの原因が表面的に見えている家庭内問題に収まらず、親の家庭環境、小さい頃の記憶、さらにはその上の世代と続いてしまうこともあります。
この悪循環を断ち切るためには、幼少期の教育が必要になるでしょう。
育てられないのに子どもができてしまう、作ってしまう。
この、隠れがちな悪い問題をどうにか解決する術はないのでしょうか。
私たちはどうしてもこういった問題に対して目をつぶりたくなってしまうのですが、おそらく僕ら一人一人がしっかりと目を向けなければいけないことなのでしょう。
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