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『GATTACAガタカ』それは自分か他の誰かか vol.338
今回の映画会のテーマは『GATTACAガタカ』。
映画界は映画について評論するだけでなく、映画を通して人生を語り、映画の解釈をより深く、そして日常に落とし込める会です。
自分だけではなくて、参加者全員の意思がお互いに影響しあって、映画を一度見ただけで10回見たくらいの濃密さにしてくれます。
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遺伝子操作で生まれた“適性者”が社会を支配する近未来。自然出産で誕生したビンセントは、“不適正者”として冷遇される人生を歩んでいた。彼は幼い頃から宇宙飛行士を夢見ていたが、それは適性者のみに許される職業だった。ある日、ビンセントはDNAブローカーの仲介で、下半身不随となった元水泳選手ジェロームの適性者IDを買い取る。ジェロームに成り済まして宇宙局「ガタカ」に入社したビンセントは、努力の末についにタイタン探査船の宇宙飛行士に選ばれるが……。
社会は統制されていくのか
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この映画では遺伝子操作によって、より遺伝子的に優れた子を選べる時代。
病気の心配もない、体の心配もない、そんな子を人工的に選べる世界です。
そんな世界では、より優れた遺伝子が価値を持つことになっています。
この映画のタイトルにもなっているガタカは、宇宙飛行士を育てる施設。
超エリートしか選ばれません。
そんな統制された世の中に、遺伝子操作によってではなく一般的な受精で生まれたビンセントが努力を重ねて、そこに名を連ねていきます。
どうしようもない、抗えないような仕組みになっていってしまった世の中。
それでも立ち向かっていくビンセントの姿は、自然とわたしたちに勇気と元気を与えてくれます。
この世の中において、それは大事な視点、そして大切な価値観なのかもしれません。
プライドを捨て自信を盾に
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この世界では遺伝子こそ全て。
だからこそ、遺伝子によって優秀に生まれてきた人間らにとっては、失敗という名の汚名はひどくプライドを傷つけているものになるのです。
ジェロームもそんな一人でした。
金メダルを取れなかったから自殺を図るといったところまで追い詰められてしまうのです。
一方で、ビンセントは恵まれた遺伝子でないにも関わらず、かつて弟のアントンに遠泳で勝った時から自信と、推進力を持ち合わせています。
これが彼の強みなのです。
そしてその自信は、どこまでも彼の盾になり、そして時には彼を支える軸になっています。
そんな姿を見ていると、彼にとって必要なのは遺伝子なんかではなく、何にも変えがたい、一つの成功体験、勝利体験なのかもしれないとも思わせてくれます。
ジェロームの旅はどこへ
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ジェロームは最後旅に出ると言って、ビンセントが一生生きていけるであろう分の尿と血液を準備します。
そして、ジェロームは焼身自殺します。
このシーンはさまざまな解釈があるのでしょう。
私はやはり、ビンセントへの自分の思いや名前の継承だと感じました。
ここまでの関係性の中で、ビンセントが成長していく様を自分自身とも重ね合わせ、そして彼なら自分の名前を背負って生きていくだけの価値がある、そして自分以上に自分の名を誇れるような生き方をしてくれる。
そう感じたからこそ、ビンセントの体毛を焼却していた焼却炉で焼かれることで、彼から剥がれ落ちる一部だったということを証明しているのかもしれません。
最後に彼は銀メダルを首にかけていました。
これは彼の過去への承認。
自分自身の人生を認めて、それを自分として愛せたからこそ付けられたのでしょう。
きっかけは様々あったと思います。
刑事に疑われたこと、家にやってきた時に這いつくばってでも応答したこと、ビンセントが諦めかけていた時に思い直したこと。
その全てが彼を変えるきっかけになったのでしょう。
単純でわかりやすい映画ではありましたが、だからこそその中にたくさんの深さが潜んでいる映画でした。
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