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MovieReview

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映画を見ての感じたことや想ったことなどをまとめています。
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2022年2月の記事一覧

『存在のない子供たち』貧困の差はまだまだ続く vol.287

生きてゆくためなら仕方ない。 いわゆる自分勝手とも取れるこの考えも、貧しい生活の中では正当化されるような気もします。 本作に出てくるのは、存在のない子供たち。 国にも親からも生きているということを認められていない。 そして、自分自身でもそれがわからなくなってしまっている。 そんな『存在のない子供たち』を見ての感想を書きます。 フィクションだとしても伝わる自分よりもはるかに年齢の低い子どもが生活のために、働いてお金を稼がざるを得ない。 目に止まるのは学校に行って、

『翔んで埼玉』意外と世の中の風刺画になっている? vol.286

話題に挙がることは多かったけど、まだ見たことがなかったシリーズの『翔んで埼玉』。 この映画を見て、初めてもともとあった漫画を実写映画化したのを知りました。 それにしても、口が埼玉になるって、、、笑。 コメディでもあるこの映画、見ての感想を書いていきます。 圧倒的差別も当たり前作中で共通して終始描かれているのが、圧倒的東京の存在感、価値、強さと、それ以外の関東県の圧倒的差別。 埼玉の土地名を聞くだけで、倒れそうになる。 「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」

『約束のネバーランド』世界は広い vol.280

何度か耳にしたことがあった、『約束のネバーランド』。 テレビアニメ化もされた週刊少年ジャンプの連載漫画が原作のようです。 私がジャンプを買っていたのは高校生の時なので、大体10年くらい前。 その時には連載していなかったはずなので、比較的新しい部類の漫画なのでしょう。 漫画の実写化は正直、面白いと思った作品はこれまでデスノート以外ないのですが、漫画も知らず映画を見るのは初めてです。 その映画化をしたこの作品について感想を書いていきます。 未知の世界を知った2人この物

『素晴らしきかな、人生』それでも人生は素晴らしい vol.276

クリスマス映画の一つである『素晴らしきかな、人生』。 とても意味の詰まった心を揺さぶられる映画でした。 いままで見てきた映画で、ウィルスミスが出ているものは全部面白かったので、この映画もとても楽しみに見れました。 愛とはなんなのか、死とはなんなのか、時間とはなんなのか。 そして、この映画は何を伝えようとしていたのでしょうか? 全員が自分の心と向き合うのを避けていたこの物語は一見、娘を亡くしたハワードが心をなくしてしまい、その再起を企む同僚との話です。 しかし、本当

『ボクたちはみんな大人になれなかった』特別と普通の狭間で vol.268

NETFLIX映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』を見ました。 見る前のパッと見の印象は恋愛映画でした。 でも、この映画全体の構造を知って流れを理解すると、これは恋愛映画ではなく私たちの日常の中にある、非日常ととらえがちな日常に焦点を当てた、誰にでもある物語でした。 時系列を逆にたどっていく新しい見せ方だなぁと感じました。 『ボクたちはみんな大人になれなかった』を見ての感想をまとめます。 切り取られるのはいつもの何気ない日々この映画は一人のおじさんが、職場から

『ヤクザと家族』生きる場所を探して vol.265

ヤクザものの映画を見ることは特に普段ないのですが。 ないというよりかは、そもそも興味の外にあるので、あまり見ようという気にはなりません。 ただ、その中でもダブルフェイスという覆面の限定ドラマが好きで、たまたまそれを思い出したのと、おすすめに出てきたので、見てみました。 『ヤクザと家族』ヤクザの家族が織りなす話かと思いきや、物語はたった一人の青年からの始まりでした。 変わる時代、生きる場所ポスターにもある通り、この映画はヤクザ社会と時代背景が映し出されます。 特に、2

『空白』極限状態の理性と本能 vol.261

悲しみと苦しみと悲壮感と無力感とさまざまなマイナスの感情が錯綜しながらも、そこに正しさや未来を求めてもがいていく人の様を描いた映画『空白』を見ました。 出演者全員の演技力がとてつもなく、つい見入ってしまい映画の世界に引き込まれてしまいます。 しかし、このような凄惨な事故からは目を背けたい。 だからこそ、適度な距離感を持って俯瞰して見ることができているのかもしれません。 それぞれが互いに理解できない中で苦しむこの映画のすごいところは、一人の少女の死から始まる物語なのに、