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英語学習進化論:AIで学習の質と速度が上がるって本当?


英語学習の変遷


英語を学ぶ方法は、ここ10年で劇的に変わってきている。20代後半の筆者が学生の頃は、教室で先生が黒板に書いたことをノートに写すスタイルが主流だった。今は学校で一人一台タブレットが支給され、英語学習もオンラインやアプリが浸透しつつある。

そんな時代の移り変わりを見てきた人にとっては、「AIから学ぶ」と言われてもあまり驚かないかもしれない。なぜなら、使うデバイスは結局スマホやタブレット。大差ないどころか従来と全く同じである。

しかし、今回のイノベーションがもたらす意味は「今までと同じ」ではない。紙からタブレットやスマホに切り替わったときも、先生ではなく動画で勉強できるようになった時も、結局は「人がコンテンツを作っている」ことに変わりはなかった。2,000年前から続いたこの様式が、今、崩れようとしている。



1. 今までの英語学習


教室での授業


◇ 先生が教える
皆さんが通過したであろう教師中心の授業では、「教師」が情報源となり、私たちは受け手でした。この方法では、生徒は能動的になりにくく、学生のモチベーションと参加を促進するには限界があるという論文が数多く発表されています。


◇ 生徒同士のグループワーク
一方で、グループワークやクラス内での対話は、お互いにアウトプットすることを通じて言語能力を高める効果的な方法と言われています。これにより、生徒は実際のコミュニケーション状況を真似ることができるので、よりリアルな状況下での問題解決の能力を伸ばすことができます。
(シャイな筆者は、この時間が苦痛で苦痛で仕方なかったです)

既存の学習環境では語学の伸びに限界がある


自習


◇ 教科書とノート
教科書や参考書とノートを使って自習するのは、英語学習の基礎を固める上で重要です。文法、語彙、読解力の向上に役立ちますが、第二言語習得研究の第一人者、クラッシェンの研究によると、「実際の言語を話す状況を提供しないかぎり、言語習得には不十分」と言われています。


◇聞き取りと発話練習
聞き取りと発話練習は、実際話せるようになるためには不可欠です。特に発話練習は、自信を持って言語を使用するための重要なステップですが、練習の機会が限られているため、多くの人が躊躇してしまいます。

読み書きで「話せるように」はならない


既存の学習法の限界


◇時間と場所の制約
今まで私たちが経験してきた学習法は、特定の場所(学校や自宅)と時間(学校の時間割など)に縛られています。これが忙しい私たちが英語にハードルを感じる大きな理由の一つです。
(筆者は仕事後クタクタになって帰宅するので、その後にまた勉強しようということはなかなか考えられないのが現実でした。)


◇個々の学習者のニーズへの対応不足
第二外国語の習得を研究する有識者は、効果的な学習経験には個人化が重要であると指摘していますが、今まで話してきた教室環境や自習方法では、学習者一人ひとりの学習スタイル、能力、興味、進度に合わせて個別にカスタマイズするのは難しいという大きな壁があります。
特に言語学習においては、学習する人が直面する具体的な困難や、興味のあるトピックが大きく異なるため、この問題はより顕著になります。


2. 英語学習最強の相棒、AI


そのような中でChatGPTが彗星のごとく現れ、一大AIブームを巻き起こしています。
これらはもちろん英会話にも大いに役立つのだが、実は「AI」と一言で言っても皆さんが思っている以上にAIは幅広く存在します。


英語に使われるAI技術


例えば、洗濯機のボタンを押すと選択がスタートするのもAI、将棋の評価値を計算するのもAI、自動運転もAIです。
ここからは数あるAIの中で、英語学習に使われているAIの技術を見ていきます。


◇自然言語処理(NLP)
自然言語処理(NLP)は、人間の言語をコンピュータが理解するためのAI技術の一つの分野です。英語学習にNLPが使われている例としては、

・文章の自動翻訳
・文法チェックツール
・会話型AIアシスタント

などが挙げられます。

例えば、会話型AIアシスタントは、ユーザーと対話できるツールです。既に世の中に浸透しているものとしてはSiriやAlexaのようなイメージです。


◇機械学習とディープラーニング
機械学習とディープラーニングは、コンピュータが大量のデータから学習し、特定のタスクを実行する能力を開発するAI技術です。これによって先生や動画学習などでは難しかった、一人ひとりの能力、進度、興味に基づいた個別化学習プランを作成することが可能です。これにより、学習者は自分のペースで効率的に学習を進めることができ、より早く英語をマスターできます。

他にもAIの強みとしては「即時のフィードバック」が上げられます。
学習者が書いた英文をリアルタイムで分析し、文法やスペルの誤りを即座に指摘することも可能なので、学習効率が格段に上がります。


3. AI英語学習の未来と課題


AI学習法の拡張性


◇複数言語への適用
AI技術はもちろん英語だけではなく、さまざまな言語の学習に応用可能です。例えば、Duolingoは既に数十言語の学習コースを提供しており、その背後にはAIが個々の言語の特性を理解し、効果的な学習パスを提供しています(Duolingo, 2020)。


◇文化間コミュニケーション能力の育成
さらに今後は、言語学習を単なる語彙や文法の習得以上のものに進化させ、文化間コミュニケーションのスキルを育成することも可能です。AIを活用したシミュレーションやゲーム形式のアプリは、異なる文化背景を持つ架空のキャラクターとのコミュニケーションを通じて、さまざまな文化的状況での適切なコミュニケーション方法を教えることができます。


課題


逆にAI×語学学習の課題としては
・データのプライバシー
・AIの倫理的な使用
・技術へのアクセスの不平等
などが上げられます。最近ではi.friendsなど、日本製で安心できるセキュリティ性の高い英会話アプリもありますので、信頼できるアプリを使用するのが良いでしょう。

AIがもたらす英語学習の新時代


AI技術の進歩は、言語学習の方法を根本的に変える可能性を持っています。複数言語への適用や文化間コミュニケーション能力の育成になど、私たちが受けられる恩恵は莫大です。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。」- チャールズ・ダーウィン

時代に応じて変化し続けていくことが、一番の道かもしれません。



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