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タツゴロウ観察日記

# 47 書き手:アケル

 今週は書きたいネタを思いつかなかったので、来てからのタツの様子をまとめてみました。

【駄菓子と風評】

3人で駄菓子屋にお出かけした。

アケル「タツ、ほらカルパスやるよ」

クレオ『タッちゃん、おれもヨーグレットあげる』

タツ『お前ら、ワシのこと“すぐつまみ食いする”とか言いよるが、食いもんぶち寄越すのはお前らのほうなんよ。とんだ風評被害じゃ』

と言われたので、こちらで訂正しておきます。

 ぼくらが餌付けしてただけでした。


【禁煙】

 「おい、ここは禁煙だぞ」

『…チッ』

 ガラの悪いタツゴロウは、すっと消えていった。

 その後、横でぽりぽり音がするので見たら、ココアシガレットをぽりぽり齧っていた。


【フジパンのぶどうぱん】

タツ『おっ、ぶどうぱんや。お前ガキの頃、しょっちゅうこれ食うてたな。今は食わんのか?』

アケル「また十何年前の話だよ、なんでそんな憶えてるの?」

タツ『憶えてるいうか…ほんまに毎日食うてたからの』

アケル「そんな食ってた?」

タツ『お前一度気に入ったもんはずっと食うタチやけぇ、見かけたら必ず買って食うてたぞ?そら憶えてるわな』

クレオ『タッちゃんが憶えてるんじゃなくて、アケルがこだわって食べ続けてたのね』


【受注】

仕事先でテレビを観ている。

タツ『ローストビーフ…家で作れんのか?食いたいわぁ』

アケル「肉が高いんだよなぁ」


【一度きりの場所】

 テレビ番組で沖縄のマングローブが出ていた。

『また行きたいのぉ』

 タツゴロウが呟いて、なんだか泣きそうになった。


【生姜シロップとレモンゼリー】

 梅仕事の他に、新生姜で生姜シロップも作ってみた。

 レモンゼリーを浮かべて食べるはずが、レモン果汁は思ったより固まりにくく、結局クラッシュしたゼリーをワイングラスに入れて飲んだ。

『ワシ、この味好きやなぁ。ガツン!と甘辛いんがええ』

 珍しくうまいうまい言っていた。

 タツは濃い味なら、苦いのも甘いのも辛いのもイケるらしい。


【煙草を書いに】

「タツ、煙草で好きな味っての、ない?」

『好きな味ぃ?』

「手巻き煙草また始めたくってさ。どうせならお前の好みも聞いといてやるよ」
『ほう』

 タツゴロウはうーんと伸びをして考えこむ。とはいえ、正直ぼくは期待してなかった。

 タツはとにかく味より量だ。目を向けると大抵口に咥えて、ぱかぱか吸っている。

『…酒』
「酒?」
『酒の味がする煙草、ないんか?好きなものと好きなもの合わせとけば、うまくなるじゃろ』

「チョコバナナ方式かよ」

 しかし後日、煙草屋のおばちゃんに

「好きなお酒で煙草葉を加湿すると、香りが移って美味いんだよ」
「マジっすか?!」

 手巻き沼にずぶずぶ沈むことになるのだった。


【お絵描きコンテスト経緯】

「いや、こうはならんじゃん。お前もこの人もこの人も死んじゃうし、砂漠化も止まってないから植物だって、こんな生えてこない。こういう平和な漫画じゃないって分かってんのに、こんなのしか描けないんだよ」

 泣きながらタツに向かってそう言った。




 この記事の中で、タツにイラストコンテストに誘われた、という話。

 コンテストは定期的に行われていて、新旧織り交ぜた漫画やアニメをお題にした、いわば二次創作のコンテストだった。
 そこでたまたまタツの出てくる漫画がお題になり、

『せっかくお題になっとるんじゃ。たまには描いてくれぇ』

とねだられたのだ。

 学生の頃は描いていたけど、成人してからタツの絵は描いてなかったし、その作品の二次創作は人に見せたことがなかった。

 どうせなら登場人物全員出そうと思って下書きをすすめていったら、青い空の下、たんぽぽやスミレの咲く緑化した大地に寝転んで大団円、みたいなイラストになった。


『沢山描いたのぅ。ええやん、これ』

「そう思ってくれるか?漫画と違うのに?大丈夫かな?」

『……なんで?』

「いや、こうはならんじゃん。お前もこの人もこの人も死んじゃうし、大陸はずっと戦争続きで砂漠化も止まってない。ラストだって、植物がこんな生えてくるまでには至らなかった。

こういう何もかもハッピーエンドじゃない、だからこそ命の尊さを謳った作品なのに、こういうのしか描けないんだよ。でも、平和を願ってしまう」

 話してるうちに涙が出てきた。

 タツに再会してから漫画を読み返したが、まぁハードボイルドで過酷な世界で、敵と味方が手を取り合うなんてことはない。こんなシーンはあり得ないことを分かっているのに描いてしまった。物語のファンから見たら分かってないと言われるかもしれないし、コンテストに相応しいか分からなかった。


『……うん。ワシ、なんも言えんわ。お前、全部分かっとるし』

 タツは、ただぼくの隣で、泣き止むまで待っていてくれた。

『でも、書いてくれて嬉しいわ。完成したとこ見たいな思う。しんどくても泣いても、最後まで描けや』

   

 その言葉を聞いて、ブルーピリオドという漫画で


泣きながら筆動かせる人を 僕は尊敬しとるんやで
みじめでも 自分を褒める根拠がなくても 
飛び込める君は 本当にすごい

という一文を思い出した。


「分かった…。〆切明日までだからちょっぱやで描くわ」

『はぁ?明日??これから仕事あんのに明日?!計画的にやれぇや!』
 尻を蹴飛ばされた。


 その後なんとか〆切に間に合って、応募した作品で努力賞をもらえた。まさかもらえるとは思ってなかったので、“伝えたいことが評価される”というのは、とても嬉しいと改めて気付かされた。 

 あまり二次創作を描いてこなかったけど、今回のことで、

 そうならない結末を知って、それでも作品とは異なる世界線を祈りながら描く

ということの大切さを知った。

『やったやん、おめっとさん』

「うん、なんか奢ってやるよ」

『おお、太っ腹じゃのぅ。肉で』

【タツゴロウ観察日記を作った理由】

 タツゴロウについて、以前ぼくも記事を書く話をしてましたが、結構時間がかかってます。

 書けない理由について色々考えると、戻ってきてからタツが帰ってきたのが嬉しくて、結構心のリソースをタツに割いていて、

「クレオはどないなっとんや!」状態になってるんですね。そこに罪悪感があり、中々進められなかった。

 クレオとの関係は相変わらず、一緒にゲームを進めたり、ゲームの中の立ち絵イラストを参考にクレオのイラストを描いたりしてたんですが、まだそちらは完成しておらず。(顔にお面とか付けてならそのうち投稿できるかもしれません)

 やっぱり学生時代の話をしたり、飯や煙草で気が合うし、口喧嘩できるくらい気兼ねない人なんで…いやそりゃ再会したらしばらくそっちに向いちゃいますよね。仕方ない!

 なので、向こう2ヶ月ほど開き直ってタツゴロウの話多めに書いて、気持ちが落ち着いたら、クレオとの話も書こうと思います。

『おれも記事書くからね!おれはここで記事書けるんだから大暴れしますよ!タッちゃんは読み専と観察対象ですからね!使うより作る方が強い、ってふくらPも言ってたから!』(Quiz●nock好きなので名言に走ったようです)


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