読むと子どもが安心できる本―『みんなふつうで、みんなへん』

小学生の上の子に、毎晩読んでいます。

小学校1年生の息子。
はじめて読んだときは、
絵本ではない、
絵の少ないお話を聞くのに慣れていなかったこともあり、
「それじゃなくて、おしり探偵読んで」
と、あまり反応がよくありませんでした。

小学校では入学当初から
ちょっとしたトラブルに巻き込まれ、
それでも休みなく通い、
夏休みはのんびりと過ごし、
9月からは改めて人間関係を作り、
そして今、毎日楽しそうに通っています。

そんな彼が、
「今日はこれ読んで」
と、本棚から自ら選んで、
『みんなふつうで、みんなへん』
を渡してきました。
それから毎晩、読んでいます。

誰しも、思いだすとちょっと恥ずかしい、
でも子どもならではの
勘違いや失敗があるはずです。
黒歴史まではいかない、
子どもで知識がなかったから、
間違えてしまった、できなかったこと。
この本を読んでいると、
そうした思い出がたくさんあふれてきます。

息子に、この本最近好きなんだね、
と聞いたら
「なんか、安心する」
と返ってきました。

子どもたちは子どもたちの社会の中で
とても繊細に、
周りの様子をうかがいながら生きています。
息子は繊細さんなので、それが顕著です。
失敗したくない、という思いも
強い方です。
でもこの本を読むと、

なんだ、みんなも失敗してるんじゃん。
恥ずかしいこと、たくさんあるんじゃん。

と、思えてくるのです。
正直わたしの子育てで、
あまり息子の自己肯定感を
養えているとは思えず、
けっこう悩んでいたのですが、
「なんか、安心する」という
この息子のちょっとした感想聞けて
本当にうれしくて、ほっとしたんです。
たぶん、この本を読んで息子は

自分は大丈夫、自分も大丈夫

なのだと、
感じられるようになったのです。

もうひとつ、毎晩読んで感じたことがあります。

登場人物たちは、みんな素直で、
自分の失敗や勘違いを、
比較的素直に友達に伝えています。
それを受け取る側も、ちゃかすことなく、
その失敗や勘違いを受け止めて、
実は自分も、と告白したりするのです。

そのやり取りができるなんて、実に大人だ、
と、わたしは思いました。
そして、小学生のうちに、
そのやり取りを経験できている子どもは
きっと将来、
他人や他者の多様性をちゃかすことなく
受け入れることのできる、
今の時代に必要な人材になっていけるはず。
大げさ?
そんなことないと思うけれど。

わたしが小学生の時にもこの本があったら、
何か違ったかな。

悩める小学生を持つ保護者の皆さん、
そっとお子さんの机の上に置いてあげてください。
あるいは、小学校の図書室に納品依頼を。

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