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入院患者さん,デイ・訪問利用者さんの歩行自立の判断,難しくないですか? 〜評価表ダウンロードフリー〜

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急性期病棟と回復期病棟の療法士さんや看護師さん,そして生活期のデイ・訪問職員からも、これはよく相談されます。

確かに難しいですよね〜...何で歩行自立と判断したら良いのか。

それでは、私の経験とダウンロード可能な論文から述べます。


✅何を基準に歩行自立と判断するのか


私が今まで実際に歩行自立と判断したことある方法は、以下3つです。

①訓練室で歩いている患者さんの足クリアランス(床とつま先のすり具合)を、主治医と一緒にみて判断する
訓練室で様々な歩行(直進歩行、横歩き、後進歩行、8の字歩き、認知負荷課題の歩行等)をみて、その結果で主治医に承諾頂きます。

この評価のメリットは、
医師と直接共有できること、足クリアランスの有無で判断できる点です。
1単位(20分)で評価できます。
デメリットは、
評価内容が足のつまづきのみであり指標が少なく、転倒予防に対する精度は担保されるのか?といった疑問も残ります。


②10m歩行速度、TUG、FBS等を参考指標として、主治医に報告し、歩行自立の承諾を得る

・10m最大歩行速度( 1m/sec以上 で歩行自立と判断)を参考にしたり↓


・TUG( 13.5秒以下 を歩行自立と判断)を参考にしたり↓
原著:Shumway-Cook A, Brauer S, Woollacott M: Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults using the Timed Up & Go Test. Phys Ther, 2000, 80: 896-903.


・FBS( 46点以上 を歩行自立と判断)を参考にしたり↓
原著:Berg K, Wood-Dauphinée S, Williams JI, et al.: Measuring balance in the elderly: preliminary development of an instrument. Physiother Can 41: 304-311, 1989.


使用する際に注意して頂きたいのは、疾患や発症後期間が異なるため、そこは考慮する必要がありますが、上記がよく紹介されるカットオフ値ですね。

この評価のメリットは、
①と比較して、定量的で評価項目も多く、精度が高いことです。
デメリットは、
10m歩行速度やTUGは「速度」が含まれており、元々遅い対象者は歩行自立と判断できないです。特に脳卒中患者ですと、歩行速度が遅いけれども、歩行自立する人はよくいます。
FBSのデメリットは、「移動」項目が含まれていないので、それで「歩行(移動)」を自立として良いのか?と疑問が残ります。

③歩行自立度評価表の活用
※自作です。ダウンロードして頂いてかまいません。
   施設毎にオリジナルでも編集できるようにエクセルも添付しますね🙌

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①、②欠点を補っているのが、この評価方法です。
以前勤めていた回復期リハ病院で行っていた内容+自分の方法を加えた内容です。
かつ、これは回復期病棟のみではなく、急性期でも生活期でも活用できます。

転倒するかしないかの、最も精度が高いのは、直接「その動きを再現」することではないでしょうか。

例えば、
「杖を落としてしまった際に、杖を拾う動作によって転びそうな人」
であれば、その動きを直接確認し、転倒しそうかを評価することです。

経験的にも、この方法のメリットは「歩行自立後に転倒しないでいられる精度」が、①、②よりも高いことです。入院中に求められる動作を全て確認しますしね。
1回の評価時間も1単位以内(15分)と短く、理学療法士以外でも行えます。

デメリットと言いますか、交渉が必要なことは、理学療法士のみではなく、他職種の協力も必要であることです。でも、他職種の協力が得られなくても、最低限、主治医には承諾得て、療法士の訓練時間内で評価することはできますしね!

✅歩行自立を許可した後に、転倒してしまったら、誰が責任とるのか

歩行自立度評価表を使用し全て合格しても、転倒してしまう対象者さんも、実際います。といいますか、転倒0は無理です💦
転倒0をうたっている病院があるとすれば、歩行自立する機会を奪っている可能性がありますね。

歩行自立することによるメリットは、
・運動量向上により身体機能がよりグッと良くなる人がいること、
・対象者本人もストレスフリー、
・退院後に必要な動きを入院中に達成できること
等々あります。

そこで、転倒した際の責任問題があると思いますが、この「歩行自立度評価」の方法について必ず、
・主治医と病棟の他職種に相談し、この評価方法の了承を得ること
・対象者さんにも、合格しても転倒する例がいることの説明と同意を得ること
です。

入院中の歩行自立の判断と他職種連携で困っていた方は、是非ご活用ください🤗

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