サーベルネクロスネーク「SNS」との戦い
僕は今、モンスターと対峙している。
モンスターの名前は「サーベルネクロスネーク」
通称「SNS」だ
その中の「ツイートス」という青色をした種のモンスター。
このモンスターは凄く厄介だ。
使い方を間違えなければ大人しく、むしろ優秀だが、のめり込むと丸呑みにされてしまう。
たくさん人を取り込み、日常や、商売、政治、あらゆるものに関して巻き付いてくる。
基本は大人しいから、皆好きなように飼い慣らす。
ただ餌をやる者
調教して自分の武器にする者
観賞用に眺めている者
そして
丸呑みにされて腹から出られない者。
このモンスターからの愛情表現である「いいね」が欲しいために餌をあげ過ぎる。質が悪いことに、このモンスターは頭がいい。いいねをあげたりあげなかったり、ツンデレの緩急が絶妙だ。
そして僕は、顎の関節を外して今にも丸呑みにしようとしてるこいつと対峙してる。
剥き出しになったサーベルのような大きな2本の牙がキラリと光る。
そして、うねる体をバネのように縮め、その勢いで飛び掛かってきた。
こいつとの戦闘は初めてではない。何回か噛みつかれたことはあるから対処はできる。
しかし、ここまで本気で殺りに来られたのは初めてだ。
鋭い牙が、ギリギリ頬をかすめた。
体勢を崩しながらも、なんとか避けることはできたが次も上手くいくかわからない。だから相手の動きを観てトドメを刺すしかない…
いやまて、ほんとにそれでいいのか?
よく考えるんだ。
僕たちは餌を与え、こいつの反応や愛情表現が欲しかった、そして気付いたら呑み込まれている。
大抵の人は自分が飲み込まれたことにすら気付いていないのかもしれない。
てことは気付いたこの時点で勝機見えているはずだ!
そうだ!ずっと前に師匠から聴いたことがある。
「サーベルネクロスネークを手懐ける時は注意が必要だ。奴らはお前の武器にもなってくれるが、育て方を間違えるとお前に牙を剥く。」
サーベルネクロスネークが大きな口を開け構えている。またあれが来る。
「もしそうなった場合、大事なのは…」
来る!
「自分に目を向けることだ。」
これだ!
そう思った瞬間、大きく口を開けた奴が飛び掛かってくる寸前だった。
僕は緊張した体をよそに、ゆっくりと目を瞑った。
「相手を観るのではない。目を瞑りその場から一歩、二歩と下がるんだ。」
その場から一歩、また一歩と少しずつ奴から遠ざかった。
周りは静かだ。風の音、木々の音、草木の音、僕の呼吸、心臓の音。
ゆっくり目を開けると、大人しく横たわり眠っている奴がいた。
「大事なのは、今自分がそいつに構いすぎていると気づくことだ。気付かなければ対処のしようがない。」
「そして、自分の目の届かないところに奴を連れていく。人は視界に誘惑があると集中できなくなる。だからそいつからなるべく遠く、手間のかかるところで飼育することが、上手く手懐ける方法だ。」
間一髪だった。
僕はなんて愚かな人間だ。
たかがモンスター一匹に、こんなにも翻弄されるなんて。まだまだ修行が足りないな。
観ててください師匠!
僕は最強の勇者になってみせます!
つづく。
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