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詩集「凍える言葉」+

2020年4月27日に発行。 混乱と悲鳴に満ちた青年期の余暇から生まれた第一詩集「凍える言葉」のnoteバージョンです。 「凍える言葉」に収録された作品はもちろん、未収録の作品、没になった作品などが収録されています。

75 本
¥500

詩:眼の夢

夢の中 眼の前には大きな本があった 何かしらのアンケートを取っているようだった 「次のページを開いて選んでください」

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詩:凍える言葉

雪は煌めき、木々は広がり、呼吸は煙り、夜は眠る

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詩:工事現場

工事現場では 打ち捨てられた巨大なピンクの脳髄が 雨に塗れて脈動する

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詩:夢の女

夢の女は砂の城に眠る 茫々たる木々は波のように城を包む 濡れた髪を散らかして

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詩:XX

書いた詩をまとめています。買い足し?

詩:凍える言葉

雪は煌めき、木々は広がり、呼吸は煙り、夜は眠る

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詩:工事現場

工事現場では 打ち捨てられた巨大なピンクの脳髄が 雨に塗れて脈動する

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詩:夢の女

夢の女は砂の城に眠る 茫々たる木々は波のように城を包む 濡れた髪を散らかして

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詩:駅Ⅱ

夜の喫煙所、ロータリーを眺める 鄙びたビルに囲まれて たった今、電源が落とされて 影のような人たちは、音も立てずに帰路へつく

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雑記

雑記。ZAKKI。ザッキ。

雑記:22

最近、というか以前より気になっていたことについて。まず、ある現象の名前を知りたい。「ある生産物はそれを生み出した機械の性能を超えることはできない」という現象について。確か、これには何か名前があったはずなのだけれども、もう何年も思い出せない。もしかしたら、この現象に関する論文か何かを読んだだけなのかもしれないけれども・・・。 この現象が仮に正しいとすると、例えばレシートはレジの性能を上回ることはできない。 例えば宇宙とか人間を理解することはできるのだろうかという疑問にはどう

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雑記:21_古い写真

昨日のことだった。部屋の掃除をしていて、20数年開けていなかった戸棚を開けた。ほとんどゴミばかりだったけれど、一つの古い写真は私の手を止めた。 今から30数年前の、私が生まれる前の母の写真だった。更新済みの免許証だった。色白で、きょとんとしたちょっと間抜けな顔だった。免許の写真なんてそんなもんだとは思う。だけど、なんだか可愛らしかった。私は、すぐ近くで作業をしていた父を呼んだ。こんなに綺麗だったんだ、と。そうだった、こんな時もあったんだなあ、と父は言った。私は父の顔をみなか

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雑記:20_カタログの印刷完了

以前、開催した展覧会カタログの印刷が完了しました。 もし欲しい方がいらっしゃいましたら、郵送いたします。料金はいただきません。 2016artview@gmail.com  こちらにご連絡くださいませ。 手元に数部しかないので、先着になってしまいます。 それでは。

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雑記:19_アートの地産地消について

以前開催した展覧会について。ネットで検索してみると、様々なメディアが紹介してくださっていたので、それを紹介。今更ですが・・・。 アートの地産地消とは、一種の造語です。これは、私の地元でのみ開催されるものではなく、様々な地方都市でその都市ならではのアートの地産地消が開催されることを目指しています。だから、こうあるべき、という明確な指針はありません。ただ、今回開催するにあたって色々と考えたことがあるので、それは展覧会カタログを参照してくだされば幸いです。 以下、紹介。どのよう

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書評

誰のどの作品かを類推しながら読む書評です。

和解の夢。

 これから紹介する作品は、おそらくその作家のみた夢が主題となっている。彼は夢の中では少 年である。 彼は、どんよりと曇った空の元、暗い田舎道を一人歩いている。吹いてくる風からは塩の香り がする。おそらくこの夜道は海沿いにある。道の左側には松原があり、右側には畑のようなもの が一面に広がっている。一時間以上歩き続けているけれども、あたりに人家らしきものは見当た らない。ただ、真っ暗な道をとぼとぼと歩いている。途中でアーク灯という当時の電灯を見つけ る。そこにたどり着いて、よう

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反逆的な、あまりに反逆的な

 これから紹介する詩はあるフランス人によって書かれた暴力的な詩である。  くだらない書物に飽きた彼は酒場へ出かける。酒場へ入ろうとした時、ある一人の物乞いが彼の元へ寄ってくる。そして、帽子を差し出すのである。その時の目つきは「王位をも転覆しかねない、まことに忘れがたき」目つきだった。彼はその物乞いに襲いかかる。片目を殴り潰し、前歯を二本へし折り、生爪を剥がすのである。彼はその場所が警官の目の及ばないことを知っていた。さらに、肩甲骨が折れるほどの力で背中を蹴飛ばし、そこらに落ち

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泥棒との対話。

 「あまり期待してお読みになると、私は困るのである。」  この一文から物語は始まる。何も困ることはない。傑作なのだ。もしかしたら、彼の作品の中で一番好きかもしれない。文学的にどうだとか、思想がどうだとか、詩的だとか散文的だとかそんな小難しそうな議論は必要ない。とにかく面白いのだ。では、泥棒をテーマにしたエンタメ作品か、と言われれば全くそうではない。エンタメとは非常に遠い。これは、私小説風フィクションである。しかし、本当にフィクションだろうか、と思わせる場所もあり、そこもこの作

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執筆当時二十四歳。無名時代の傑作。

 「きっと、そうか。」そういって彼は現場から立ち去る。そして、この物語は終わるー。  立ち去った彼は、失業中の若者である。彼は途方に暮れていた。あたりは夕暮れ で、雨は上がりそうもない。周囲には誰もいない。ただ、ぼんやりと雨の音が聞こ えるだけである。大不況と災害によって人生が立ち行かなくなった彼は、良心との 対決を一人行っていたのだった。  この物語は、非常に短い。しかし、だからといって軽い内容ではない。極めて濃 密で、一種のリズムがある。濃密さとリズム、それはどこからくる

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100文字小説

試しに書いてみた100文字小説

名探偵はある毒殺事件を追っていた。リストの容疑者の中に怪人毒蛇男が紛れているらしい。彼はある名案を思いついた。容疑者全員に早口言葉を言わせたのだ。途中で一人の男が死んだ。彼は舌を噛んだのである。

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どれくらい時間が経ったのか。起きるたびに景色が変わっている。流行りのコールドスリープ装置を導入したが何かおかしい。まあいいか、もう一眠り。彼がスヌーズモードの設定ミスに気付くのは500年後である。

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口裂け女は幸せだった。コロナ騒ぎで皆マスクをしているからである。これで一人夜道を歩かなくて済むし、誰かを脅かさなくてもいい。友達も沢山できたけど、大好きなカラオケや飲み会に誘われないのは何故かしら。

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