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子どもが子どもでいられる時間

オルタナティブスクールで教師をしています。少し前のことになりますが、先日、勤務先の学校でお祭りがありました。

わたしは子どもたちの作品展示コーナーで案内係をつとめたのですが、担任としての仕事を見つめ直すのに、とても良い機会となりました。

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というのも、子どもたちのエポックノート(自分でつくる教科書のようなもの)や水彩画を観た多くの方々が、こう尋ねてきたのです。

これは子ども自身が考えたものですか?先生が考えたものですか?

背景には、

ここは自由な雰囲気の学校だけれど、一体、どんな授業がなされているのか。一般的な学校との違いを知り、納得したい。

というニーズがあるように感じました。

そこで、この質問にお答えするならば・・・と考えてみました。

この記事では、わたしが授業で大切にしていることを書いていきます。

オルタナティブ教育に興味のある方、とりわけ自由な教育に惹かれる方には、ぜひ読んでいただきたいです。

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まず、先ほどの質問にたいして簡潔に答えるならばこうなります。

基本は先生が用意したものです。先生のお手本やリードに従っているうちに、自ずとその子らしさ(個性的なもの)がでてくることはあります。

子どもの主体性は大事にしていますが、なんでもかんでも自由というわけではありません。

どちらかといえば、ある制限を与えて、その中で自由にさせてあげるようなイメージです。「ここまでは大丈夫」という線引きがあるほうが、子どもが安心してのびのびできると思っています。

自分のやり方で個性を出していくのは、もう少し大きくなってからのお楽しみにとっておきます。

お楽しみというとお気楽ですが・・・もっと重々しく言うならば、準備の整っていない子どもたちをいきなり「表現(外)の世界」へ晒すのは酷だと思うのです。それは、急に外へと締め出されるような居心地の悪い体験になり得ます。

ちょっと想像がつきにくいでしょうか。では、もう少し違う角度から!

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みなさんが、全くのダンス初心者だとします。そこで、「さぁ、フリースタイルで踊ってください!」と言われれたら、ちょっと戸惑いませんか?わたしは突然野に放たれたような、不安な気持ちになります。笑 きっと、その場から逃げ出したくなります!

いきなり挑戦する前に、まずはリズムの取り方や基本ステップを習っておきたいですよね。できれば、「お、できるかも!」という手ごたえをこつこつためておいて、複雑なこともできるようになってからにしたいです。

いきなりフリースタイルをやらされたら・・・トラウマになりかねません。ダンスってとても楽しいものなのに。最初は良さがわからなくても、ちょっと頑張ってつづけるうちにハマっていくかもしれないのに。準備期間がないばかりに、大嫌いになってしまうおそれがあります。

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同じことは、表現においても、学習においても、というか、生きること全般において言えるのではないでしょうか。

子どもは、自由な選択を手にする前に、まずは世界との間に立ちはだかって導いてくれる大人の存在を必要としています。ご家庭ではご両親が、学校では教師が、それを担っていくことになるでしょう。

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無理矢理まとめると、

わたしは授業をする上で、子どもたちが段階的に世の中へ馴染んでいけるようにと気をつけています。

いつか世界で独り立ちしていくための準備段階として、線を引く、絵を描く、文字を書くということからも、丁寧に、慎重に。

言い換えるならば、子どもが子どもでいられる時間を守っているつもりです。

ゆっくりじっくり馴染ませて、その時がきたらぱっと手を離していく。そんなイメージです。

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以下、あとがきのようなものを書きます。

子どもは大人の導きを必要としているという、なんとも当たり前のことを書いてしまいました。でも、その当たり前も時代とともに変わってきているようです。

この記事は、〈権威〉ということばを裏キーワードに書いてみました。

シュタイナー教育では、0〜7歳の子どもは〈模倣〉によって、7〜14歳の子どもは〈権威〉によって学ぶと言われています。「自由な」教育ではなく、「自由へ」の教育。真の自由を花開かせるための準備期間をとても大切にしている教育だと、わたしは解釈しています。

このご時世、〈権威〉などと言われると、抵抗感を覚える方のほうが多いかもしれません。実際、学校説明会でも「あとは、子どもが行きたいと言ったら入学させます」という親御さんが多く、みなさん、子どもの意志を尊重したいんだなぁ・・・ということが、ひしひしと伝わってきます。

でも、自由な選択や表現、それに伴い生じてくる結果や評価について、子どもはどれだけリアルに見渡せるでしょうか。どこまでその責任を負うことができるでしょうか。やっぱりそこは、より広い世界を知っている大人の責任になると思います。

わたしの学校では「人生に関わるような大きな決断は、子どもに任せないでおきましょう。あくまで最終的な決定は大人のほうで。」とお伝えしています。それは、子どもを早く大人化させることから守るためです。

こんなことを言うと、「自分の決断のせいで子どもが傷つくかもしれないから・・・」と不安を覚える方もいらっしゃいます。でも、大丈夫ですよ!親の皆さん!その決断がたとえ間違っていても大丈夫なのです。そもそも、子どもはお父さんとお母さんを選んで生まれてきています。間違ったり、そのことによって傷ついたりするのも込みで、そんな経験からも学びたいことがあって、選んでくれています。

生まれる前から決めてきている、そのレベルの子どもの意志を尊重するという見方はいかがでしょうか。きっと、子どもたちとの深い絆を感じていただけると思います。

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