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「誰が、誰で、誰と」制作雑記 (前編)

あらすじ
全ては1本の電話から始まった。閉店したカフェに忘れ物を取りに向かうと、一方的に告げて電話を切った客。時間を持て余すオーナーのミユキ。ラジオからは近くで起きた殺人事件のニュースが流れている。やがて事件を捜査する刑事が店に訪ねてくるが・・・


 初めて映画を制作したのは2015年でした。見切り発車で始めた映画制作でしたが、もちろん我々には映画制作の経験なぞなく、助監督どころか制作として映画の現場に参加したこともありません。製作費も自分たちで出す自主制作映画であり、1作目はなんとか完成までもっていきましたが、スケジュールも伸びていき、費用もどんどん膨れ上がっていきました。
 2016年制作に制作した短編映画「誰が、誰で、誰と」では、前作の経験を活かし、支出を抑えながら円滑に映画制作を進めていくため工程を見直しました。
 これが、2016年の映画制作のスケジュールとなります。

2016映画02


2016年に制作した映画について、この流れにそって、各項目ごとにまとめていきます。


シナリオ(6月依頼~完成10月)
 いままでは自分たちでシナリオを考えるところから始めましたが、シナリオについての作法も知らず、また自分たちの経験だけではまたシナリオを書いても似通ったものになってしまうのではないかと考え、一度本職のシナリオライターの人に依頼をすることにしました。そこで、前作で知り合った役者の方からシナリオライターを紹介していただきシナリオをお願いすることになりました。
 シナリオを作成していただくに際し、前作の教訓からいくつかの条件を提示し、そのシチュエーションに沿ったプロット案を出してもらい、そこからチョイスしシナリオにしてもらう、という手順をとりました。
その時、提示した条件は

・尺は10分から20分以内の短編

・場面は2つまで、1が望ましい

・登場人物は3人程度

でした。これは前作の経験から、前作で場面を増やし過ぎて撮影が延びてしまったこと、また複数人の会話劇をうまく演出しきれなかったこと、短編映画を考えたときに人数が多すぎると理解する前に尺がきてしまうことなどを考え、この3つを条件としてライターさんに伝えました。
 ライターさんはいくつかプロット案を出してもらい、我々はその中から1本を選び、そのシナリオを膨らませて一軒のカフェで起こるサスペンスとなりました。(初稿ではコインランドリーの話でした)


キャスト・スタッフ集め(8月から募集)
 
カメラマンや音声といった制作スタッフ、出演してもらう役者をどう集めるか、自分たちは仕事で知り合った方からの紹介がほぼ100%を占めています。メンバーの募集だとシネマプランナーズでの募集やSNSでの呼びかけなどありますが、ここは自分たちは利用したことはありません。技術でいえばある程度お互いに仕事をしていたり、顔見知りのほうが意思疎通がしやすいですし、つながりが多いです。逆に役者さんは役者つながりというのがあり、いろいろと紹介してもらうことができたのが大きいかなと思いました。あとは制作中のちょっとしたお手伝いやエキストラなどは、短い時間でも構わないので友達にお願いし、出てもらうこともあります。
(演者や技術の方にはそこまで多くはないですが謝礼を支払っています)
 人員は多いほど良いですが、その分費用は掛かります。一緒に映画を作りたい、と思ってくれるコアメンバーの数が僕たちは2人でここは制作費に含めていません。今後はそういった仲間も増やしていきたいなと思っています。


機材選定
 カメラはCANONのEOS C100 を使用しました。

 EOS C100は発売は2012年、シネマカメラとして長く使われているカメラです。1眼レフでの撮影が増えてきていますが、あくまで1眼レフは写真を撮影するのがメインですが、EOS C100 はシネマカメラ、センサーサイズはAPS-Cでスーパー35mm相当サイズのCMOSセンサーを持ってます。アイリスや内蔵ND、キャノンケーブルによる音声入力やHDMI出力など映像に必要な機能が内蔵されています。1眼レフのEOSシリーズで使用できるEFレンズが利用できるのも自分がEOSユーザーでレンズを所有してるのも採用のポイントとなりました。
(一番の採用ポイントは知人から借りることができたからですけどね・・・)

 映画撮影にはカメラがあればOK、というわけではなく、音声、照明、三脚や時には特機など必要となります。自分たちで持っている機材だけでは到底賄いきれないわけですが、そういった機材は業者からレンタルしていきます。依頼した技術さんが自分の機材を使用する場合もありますし、その方と相談して機材を借りてくることもあります。
 予算と撮影したいカットを照らし合わせ、時には妥協しながら機材を集めていきます。この作品では特機として小型クレーンを使用しました。


ロケ地(10月ロケハン、決定11月)
 
シナリオの方向性が決まってきたところで、ロケ地探しを行います。
ロケ地探しにはネットのロケ地紹介サイトを利用します。特に自分たちはスペースマーケットを使用することが多いです。東京在住なので東京ロケーションボックスや区や市などの自治体のロケーションサービスも調べたりはしますが、ロケ地紹介サイトを利用しています。(この辺りの自治体サービスについては後々に記事にしたいと思います)
 まずネットで目ぼしい物件を探し、ロケハンが可能かどうかを確認、実際にその建物を見に行きます。この時、カメラマンも同行できるときはしてもらいますが、みんなそれぞれ仕事をしており、基本はメインメンバーの犬竹、宮口の二人だけで見に行くことが多いです。5か所ほど回り、最終的に某所にある国道沿いのレンタルカフェに決め、HPから契約の手続きを取りました。

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ロケハン風景

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実際に撮影に使用したレンタルカフェ

 ロケハンで確認するポイントとして

・作品イメージにあった撮影ができるか?

・電源の数や位置、アンペアは足りるか?(照明を置く場合に電力は必要)

・ロケ地回りの環境に問題ないか?
 (実際にアパートの一室だったりすると騒音のトラブルなども発生)

・費用は予算内か?


と、いった点を確認します。特に電源の数や周りの環境などは以外と気づかないポイントなので注意したほうがよいです。
 実際に撮影で借りたカフェですが、決め手になったのは外からの撮影もできる、奥や2回など撮影に使えるスペースが多くシナリオに合わせたシーンを作りやすかった、周りに民家がなく騒音の心配がないという点でした。レンタル費用は朝から撮影で使用しても10万円を切っていたのも選んだ要因の一つでした
(ただ、撮影は深夜まで及び追加費用を取られてしまいましたが・・・)

 自主映画を制作して、どこにお金がかかるのかと言えば文句なしで場所代です。特に都内は撮影NGの場所も多く、建物を借りるのも費用が掛かります。これが学生だと学内を利用したり、地域で撮影させてくれたりと、今思えば学生のころもっとそのあたりの恩恵を理解していれば、と思うことが多々あります。
 声を大にして言いたいのは、映画を撮りたいと思っている学生さん、今のうちに撮影しておいたほいがいいですよ!!


と、思った以上に長くなってしまいましたので、ここまでを前編として、後編は実際に顔合わせをしたところから撮影、編集についてまとめていこうと思います。


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