水葬|詩
海鳥は物憂げに虚空を見つめている
雲一つない穏やかな空だ
喧騒から解き放たれた僕の遺骸は
花々華やぐ桶に納められた
忘れそうだ、忘れるのかもしれない
記憶が曖昧だ、何かが遠のく
悲しくはない、けれど嬉しくもない
何を見た、何を感じた、何を、一体…
桶が海水に浸かった、そして潮に満ちた
僕の身体ごと、ゆっくりと沈む
「助けてほしかった」
「見届けてくれて安心した」
「僕は何者なのだろう」
様々な考えが巡る
僕は大海原へと旅立った
もう、誰と逢うこともない
暗く深い海の底へ
もう、何を想うことも無いままに
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