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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)基本戦略~新型コロナウイルス感染症その5

(2020年10月18日内容修正いたしました)

読者の皆様、ご無沙汰いたしておりました。

いろいろと忙しい日々を過ごしていましたので、ノートの記事執筆が滞ってしまいました。

でも、日々大変貴重な経験を本当に数多く経験させていただくこともできました(どのようなものか?内容は?読者の皆様の想像にお任せいたしますね)。

本日は、筆者の考える、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する基本戦略をお話しさせていただきます。

日本では、2020年1月から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対峙してまいりました。

現時点で考える、筆者の基本戦略は冒頭のスライドにお示ししている
「三本柱」となります。

①マスク:感染対策

②新型コロナウイルス検査:早期診断

③治療薬(ファビピラビル・デキサメサゾン等):早期治療

一つ目、①マスクについてのお話しから。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として最も重要なことは、「感染防止」により、あらたな感染者・発病者を増加させないことです。

このために、外出自粛・Stay Homeなどが行われておりますが、家族内での伝播や、病院・診療所内での感染拡大等の報告が後を絶ちません。

これらを防止するための重要な戦略が、一つ目の「マスク」になります。

公立昭和病院では、インフルエンザウイルス感染症の院内感染対策として、インフルエンザウイルス感染症流行期に、全職員および病院を訪れる皆様に対してのマスク着用の勧奨を行っております。

このマスク着用勧奨の効果は絶大で、マスク着用の勧奨を行う以前は、院内でのインフルエンザウイルス感染症の発生が一定程度生じていましたが、マスク着用勧奨を開始された年以降は、ほぼインフルエンザウイルス感染症の院内での多数患者の発生は抑制されております

現在では、日本の多くの医療機関で、インフルエンザウイルス感染症流行期のマスク着用を実施いただいており、大きな効果を実感されていることかと思います。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、このインフルエンザウイルス感染症と同様の「飛沫感染」により、感染・伝播するウイルス感染症です。

同様の「マスク着用戦略」の有効性は十分に期待される状況です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、インフルエンザウイルス感染症と同様に、症状の無い感染者からの感染拡大の懸念があり得ます。

この点からも、すべての職員・病院来訪者へのマスク着用戦略は、症状の無い感染者からの感染拡大を未然に防ぐ戦略として大変重要であると考えております。

二つ目は、「新型コロナウイルス感染症検査」です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、感染対策および早期治療の双方の観点から、早期診断が大変重要な感染症です。

診断が早期にされれば、感染している皆様から感染していない周囲の皆様への感染伝播を防止する対策をとることが可能となります。

また、早期の診断により、万が一病状が悪化・重篤化された際には、速やかに治療薬の投与を開始することにもつながるのです。

現在、新型コロナウイルス感染症の診断のための検査は主に「核酸増幅法」という検査が信頼性の高い検査となっております。

これは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の遺伝子(RNA)を増幅して検出する方法です。

PCRLAMP法等が開発され、日本の臨床現場でも活用されております。

この検査を、新型コロナウイルス感染症の臨床症状がある皆様に早期に実施する。

そして、陽性であれば「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と診断

経過観察・安静加療を行い、万が一、呼吸不全等の症状が出現された際には、速やかに治療薬投与が開始できる体制をとることが重要です。

現状、呼吸不全が重篤になってから、医療機関を受診・入院されても、検査の結果が得られるまでに2~5日程度必要となる場合があります。

これでは、必要な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の投与開始が遅れてしまい、結果的に人工呼吸管理・人工肺(ECMO)による集中治療が必要な重篤な病態となってしまいかねません。

早期診断そして治療。そのために早期の検査実施が求めらるのですね。

三つめは、「治療薬(ファビピラビル:アビガン®等)」です。

現在の主な治療薬は以下の通りです(太字は筆者の期待する薬剤)。

COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2に対して作用する抗ウイルス薬
 ・ファビピラビル:アビガン®
 
・レムデシビル:ベクルリー®

肺の炎症(肺炎)を改善する効果を期待する薬剤:抗炎症薬
 ・デキサメサゾン:デカドロン®

上記薬剤の単剤もしくは併用治療は、ある程度の新型コロナウイルス肺炎に対する治療効果を上げてきつつあるかと考えております。
それでも、重症例に対する有効性はまだ十分とは言い難い状況かとも想像いたしております。

治療薬の存在は、人々の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、不安・恐怖を緩和する効果ももたらしていると筆者は考えております。

「自分が新型コロナウイルス感染症にかかったらどうしよう・・・」

そういった漠然とした不安・恐怖・・・これらの見えざる脅威を軽減するためにも有効な薬剤が存在し、手に入る状況であること~これは大切なことではないかと考えております。

今後、さらなる治療薬の候補・選択肢を増やしていき、ある程度のラインナップを準備しておくことが必要です。

そして、新型コロナウイルス感染症に対して効果がより優れ、副作用のより少ない薬剤が登場するのであれば、それは大変喜ばしいことではないかと思います。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する医学情報は、大変更新速度の速い状況です。

昨日まで妥当であったことが、本日適切とは言い難いことも沢山でてくることでしょう。

「時空を超えて正しいことは存在しない」
このことを忘れてはいけません。

常に、知識のアップデートを図る努力が必要なのですね。

まとめ

本日は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する基本戦略のお話しでした。

①適切なマスクの着用
②臨床症状のある患者の皆様への迅速な新型コロナウイルス感染症検査の実施
③治療薬開発への期待

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、不安・恐怖を感じている読者の皆様もまだまだ多い状況でしょうか。

でも、確実に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対峙する戦略は整いつつある状況です。

未来は相当程度明るいものとなると筆者は予想しております。

そして、ちょっと先の未来に新型コロナウイルス感染症に対する、ワクチン(予防接種)が登場してくれば、さらに安心感が増してくることでしょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、地球人類が皆で立ち向かう、21世紀最初の課題です。

読者の皆様もご協力をお願いいたします。

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