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新型コロナウイルス感染症~COVID-19感染対策の極意~新型コロナウイルス感染症~その6

みなさまこんにちは。

ゴールデンウイークあらため、ステイホーム週間(STAY HOME週間)を皆様いかがおすごしでしょうか?

私共はあいも変わらず、日々、感染対策および感染症診療に精進いたしております。

最近、いろいろな病院・介護施設等で、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の院内・施設内感染の話題が続いております。

この状況は、感染対策を使命とする、私共にとっても他人事ではありません。

そこで、本日は、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の確定診断がついていない患者・入所者の皆様への感染対策のお話をさせていただきます。

ポイントは、「誰が新型コロナウイルス感染症~COVID-19~に感染しているか正確には把握できていない」ことでしょうか。

現状の日本の流行状況(特に東京都や大阪府等の都市部)においては、誰が感染しているかを正確に把握することはムズカシイと筆者は考えております。

そのような状況では、目の前の患者および入所者の皆様が、万が一新型コロナウイルス感染症~COVID-19~に感染されていたとしても、院内・施設内での拡散・伝播を未然に防ぐような感染対策が必要となりますね。

そろそろ、本日のテーマに移ります。

筆者は、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~感染対策は、インフルエンザウイルス感染症に準じた「飛沫感染対策」に偏重した対策ではうまく行かないと考えておりました。

その理由は、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~患者の皆様方は、当初から、下痢・軟便等の消化器症状を呈する方々が結構多いと感じていたからです。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~は「肺炎」「呼吸器感染症」という印象が一般市民および医療提供者双方に強く根付いてしまっているために、下痢・軟便等の消化器症状はあまり意識されていないように筆者は感じておりました。

そのような中で、検体別のウイルス検出持続期間に関する下記の報告が出てまいりました。

上記報告に記載がある、検体別のウイルス検出の持続期間中央値は以下のとおりです。

便:22日
・呼吸器:18日
・血清:16日

本報告の結論では、「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス感染症~COVID-19の原因ウイルス)の検出持続期間は、呼吸器および血清サンプルよりも便検体の方が大幅に長く感染対策おける便検体の管理を強化する必要があること」が強調されております。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の原因ウイルスは、便からの排泄期間が以外に長いことが本報告からわかりました。

ですから、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスが含まれた糞便等に手指等が汚染され、手洗い・手指衛生が不十分な状況で、ウイルスが経口摂取されれば、感染が成立してしまう可能性(「糞口感染」と言います)は常に念頭においておく必要があります。

それでは、私達はこの報告を踏まえて、どのような感染対策を行えば良いのでしょうか?

筆者は、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~専用に新たに排泄ケア関連の感染対策を立案するのは大変なので、現状の病院や介護老健施設等での既存の感染対策の活用でどうにかならないか?を考えました。

そこで、活用できそうなものが「ノロウイルス感染対策」です。

具体的なノロウイルス感染対策は下記サイトをご参照ください。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19感染症の感染対策として、これまで実施されているであろう、インフルエンザウイルス感染症に準じた「飛沫感染対策」(マスク着用など)+標準予防策(手洗いなど)に加えて、ノロウイルス感染対策である、トイレ・排泄ケア対策+環境清拭を併用することを提案いたします。

ノロウイルスも新型コロナウイルスも、どちらも次亜塩素酸ナトリウムによる消毒の有効性が期待されるウイルス感染症です。推奨されている濃度等は参照元をご確認ください。

現状では、だれが新型コロナウイルス感染症~COVID-19~の原因ウイルスを保有および排泄しているかを正確に特定することは困難です。

医療・介護の現場で、排泄ケアをする際に、

「もしかして新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスが糞便・排泄物中に存在しているかも・・・」

予想・推定して排泄ケア時の感染対策を実施することで、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~施設内伝播(アウトブレイク)を未然に防ぐことにつがなるのではないかと、筆者は考えております。

ここでも「予想する努力」が大事なのですね


もちろん、新型コロナウイルス感染症~COVID-19~は、咳嗽・くしゃみ等により発生する「飛沫」が感染源となることも十分に想定されているわけですので、インフルエンザウイルス感染症に準じた「飛沫感染対策」+手洗い等の標準予防策を適切に実施することの重要性はかわりませんね。

まとめ

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~病院・施設内での感染拡大を防止するための筆者の考える感染対策のポイント

・ノロウイルス感染対策に準じた対策
 ・排泄ケア・トイレの適切な清掃・消毒
 ・環境の清掃

・インフルエンザウイルス感染症に準じた対策
 ・飛沫感染対策:マスク着用・換気など
 ・手洗い・手指衛生を中心とした標準予防策

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~が確定診断された症例は、厳重な感染対策が実施されるため、病院・施設内での感染伝播のリスク要因にはなりにくい状況があります。

新型コロナウイルス感染症~COVID-19~確定診断前の患者の皆様からの院内・施設内感染を未然に防ぐ対策。これが現状の日本の医療機関および介護老健施設で求められている感染対策ではないでしょうか。

言うは易く行うは難し

なかなか大変な感染対策ではありますが本ノート記事が、読者の皆様の感染対策の参考になりましたら幸いです。

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