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#018「自己コントロール力と巻き込み力を高める言語化の効能」フェルトセンスを言葉に換える

皆さんこんにちは。井戸です。
突然だが、このような言葉を日常的に使ったことはあるだろうか。

・空気を読む
・ドン引き
・スベる
・ドヤ顔
・グダグダ
・ハードルを上げる
・逆ギレ
・カブってる
・パンチ効いてる
・からみにくい
・ヘコむ
・ダメ出し

おそらく一度ならず何度もあるだろう。非常に使い勝手が良く、様々な状況描写において重宝できるボキャブラリーだ。これらの造語、実はある1人の有名人から生み出されたということをご存知だろうか?

ダウンタウンの松本人志さんだ。

今や当たり前に使う言葉だろう。そんなワードたちが、松本さん登場以前は「この世になかった」と考えると、不思議な感じがする。例えば

「さっきあいつに足踏まれた!んで自分から足踏んできたのに、『お前がそんなとこに足出してるから悪いんじゃ!』ってキレてきよったんやけど・・・。ありえんくない!?先に踏んだんあっちやで?なんかむかつくしモヤモヤするわ~~~!なんやろこの感情・・・」

こんなとき、

「あいつに

  人人人人人
> 逆ギレ <
 ̄Y^Y^Y^Y ̄

された!」

と端的に表現できれば、言葉にできない感情へのモヤモヤは多少和らぐ(足を踏まれたことへの怒りは置いといて)が、言葉が存在しないとダラダラ長い言葉で表現するしかなくなり、溜飲も下がりにくくなるだろう。

このように、どこかあいまいでとらえどころがなく、言葉にしがたいモヤモヤした感覚を「フェルトセンス」と呼ぶ。松本さんの功績は、日常的にはびこっていたフェルトセンスたちにことごとく、しっくりくる端的で言いやすい造語を当てはめたことに尽きる。

こんな便利な造語、一生のうち1つでも生み出せたら奇跡。それをこんなに量産できる言語化力こそが、一流芸能人として第一線で活躍し続けられる源泉なのだろう。

本日は「言語化力」について語りたい。

1.言語化力の効能

コーチングをしていて様々な方とお話をすると、「言葉にできる力」に違いがあることに気づく。そして質問をした際、

「仕事にコレジャナイ感があって・・・」
「このままだと何となく悪い気がする・・・」
「イマイチ、よくわかってない・・・」

とふわっとした答えを返す人は多い。

一方、コーチングを続けていくことにより、豊富な感情のボキャブラリーや比喩、たとえ話を用いて、自分の思考と気持ちを明確に表現して答えることができるようになる人もいる。

言語化力のメリットは以下2点に集約されると考える。

1)自己コントロール力が上がる

人は、自分の事を知ってそうで知らないもの。

・何に悩んでいるのか。
・今自分にはどんな感情があり、苦しんでいるのか。
・何が課題で、どこへ向かっていきたいのか。

心の中にある、もやもやとした雲のようなフェルトセンス。

確かに感覚はあり、確かに存在はするのだけど、つかもうとすると消えてしまうフェルトセンスは、曖昧がゆえに取り出すことができず、気持ちの置き場所を見失ってしまう。

それらを「言語化する」ことができれば、曖昧なフェルトセンスは「実体化」する。モヤモヤしているとき、自分の気持ちや感情を的確に言い当てられると、

「そうそう!そういうこと、そういうこと!」

とスッキリする、アレだ。

言葉にすることで思考がクリアになり、自分理解が深まる。課題も実体化する。言語化力を高め、自分自身で自分の状況を言葉にできるようになれば、『自分の思考・感情・行動を客観視し、見つめる力がある』ということになる。漫然としていた悩みを自己分析できることはすなわち、『自己コントロール力が高い』と言い換えられる。

僕のコーチングでは、痒いところに手が届く質問や、本人だけでは言葉にしきれない部分を要約してあげることでフェルトセンスにハンドルを付け、形あるものとして取り出すことを意識している。言語化でき、思考の堂々巡りから解消されたときのコーチング受講者の顔は、なんとも晴れ晴れしているのが印象的だ。

2)人を納得させ、巻き込むことができる

人の気持ちは複雑に絡み合っている。それぞれ個別性があり、価値観や課題もバラバラ。そしてそれが集団になれば、なおのこと複雑さが増す。そんな中で、人を動かすには「論理的」かつ「感情的」に、相手に納得してもらう必要がある。

その時に、

「みんな色々あるんだよ」
「もちろん懸念点だって色々あるよ」
「でもとにかくやるべきなんだよ」

では、他者への自分の思考や気持ちは一生伝わらない。

巻き込みたい相手/情報を受け取って欲しい人の気持ちを、こちらが理解しているということも含めて「言葉」として共感を示せること。その上で、相手がその状況を鮮明に想像できるよう、論理的かつ感情的に伝える。それを然るべき表現で伝えれば100%とは言わずとも、誰かを巻き込み、動かしやすくなる。

『ペンは剣より強し』だ。

このように、「言葉化スキル」を高めることは、

・人間関係を円滑にする
・自信を持ってキャリアを切り開く
・感情に振り回されず穏やかに生きる

ためにも必須と言っていいだろう。

2.言語化の達人たち

自分も言語化力を高めたい人間の1人だ。読書や動画視聴などでインプットを行い、そこで処理した情報を自分なりにまとめてnoteに書き出したりXにつぶやくことでアウトプットし、日々鍛錬を重ねている。そんな僕が「言語化力が異次元に高い」と感じるYouTube上の著名人をご紹介したい。

1)マコなり社長

この方はビジネスYouTuberの走りとして、2019年辺りから質の高い動画を量産されている。経営哲学に加え、ビジネスリテラシーやアニメから学ぶ処世術など、様々なコンテンツが魅力的だ。話の中心は岡本太郎やアドラー心理学、数多の哲学者からインスパイアされた持論が多いため、物事の本質をズバッとえぐるパンチラインや、核心をグサグサ刺してくれる言葉たちが心地よい。

本動画の核心は「文章を書くとは、考えることそのもの。直感だけで反射的に判断していたのでは、人生は変わらない。論理的な文章を書くことで、人を動かせ、人生が変わる」。一度ご賞味あれ。

2)宋世羅

この方は、スポーツやビジネスに本気で向き合ってきた人だけがたどり着ける領域で言語化されている。とにかく因数分解が得意な印象だ。ふわっとした抽象的なトークは一つもなく、毎回「そうそう、特にこの部分を上手いこと表現できてなかったんよ!よくこんなとこ見つけてメス入れたな!」と思わせてくれる。課題を因数分解し、ボトルネックを見つけ出し、そこに独特の表現や哲学、自身の経験談をいい具合でブレンドしてくれる表現者だ。

本動画の核心は「どれだけ遊びを持たせて”マニュアルの外”にいけるかが、他人が感じるその人のセンスやクリエイティブになる」。一度ご賞味あれ。

3)若新雄純

ワイドショーでのコメンテーターとして有名だが、まさにフェルトセンスを取り出し、そこにハンドルを付けて具現化してくれる天才だ。日常生活に潜むモヤモヤに対し独自の持論と解釈を交えて言語化してくれ「そうそう、それが言いたかったのよ!」と首がもげるほど頷かせていただいた。

本動画の核心は「日本は蓄積型社会。瞬発的な能力や才能で評価される即席型ではなく、蓄積された年齢や役職によって評価される蓄積型。一度の失敗が一生蓄積され残り続けるから、守りに入る」。一度ご賞味あれ。

4)レインボー

最後はお笑い芸人。「こんな現場に遭遇したことがある」「見たことないのに想像できて笑える」という状況を、高い演技力で解像度高く再現するコント師だ。直接的な言語化力とは違うが、演技と言葉のチョイスで「そうそう、こういうやついるよな!」を再現でき、なんかモヤモヤがスッキリするという点でノミネートさせていただいた。

本動画の見どころは「起承転結も落ちもない話は、睡眠導入に最適」という点。一度ご賞味あれ。

さて、本日は言語化力についてお話しさせていただいた。漫然ととらえどころがないものを言語化すると、頭も心もスッキリする。無意識が浮き彫りになり、物事を解像度高く認識できる。思考を外に出すことで、脳が軽くなる。新たな思考を創出する余白が生まれる。いい事ずくめだ。

言語化は、読書などを継続し新たな視点を獲得することで磨かれる。足りない部分は、コーチングにより補完できる。言語化力を高めて、人生を豊かにしていこう。
それではまた!

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