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アイドルと日々(時にはココ・シャネルのように)


風邪をひいた。
風邪をひいている場合じゃないときに限って風邪をひくような気がするし、合わない靴で毎日走り回っているせいか靴擦れだらけだし、大好きなぼうだんしょうねんだんのライブのチケットも(1公演も行けないわけじゃないからわがままなのかもしれないけど)思ったように取れないし、いいことが何もない。
走りまわって笑顔をふりまいて一生懸命に働いているだけなのに、私が成果をあげると都合の悪い人があれこれと邪魔をしてくるし、妬みと嫉みとあらゆるしがらみをくぐり抜けるのに毎日とても大変だ。

大好きなアイドルたちは私を癒してくれるけど、私の現実世界をすぐに変えてくれるわけじゃない。どんなに大好きな人が輝いていて、文化勲章とかもらったりしていても、私は私のままだ。

良いことと嫌なことが人に平等に与えられるなら、宝くじでも当たらなきゃ割に合わない気がする。


もしもたくさんのあり余るお金があったら何をしよう?
一年間何もしないで遊んで暮らすにはいくら必要なのだろうか。
もしも一年間遊んで暮らせるなら、知らない国へ自分探しの旅にでも行ってみようか……。
そもそも、時々、“現肩書き”が不明の著名人が自分探しの旅に出るけれど、自由気ままに見える旅の果てに彼らの探していた自分は見つかったのだろうか?
某アヤベ氏は、アメリカンドリームを掴めただろうか?
ふわふわしたオーラをまとってるいるように思うその人たちは、自分を探しに行ったまま、行きっぱなしになることが多い気がする。どんなに裕福で自由に見えても、本当の自分の望みを叶えるのってとてもとても難しいのだろうか。


生活をするためには働かないといけない。
自分を満たしてあげるためにはお金がかかる。だから私は働く。
仕事が嫌いなわけじゃないし、嫌いな人ばかりでもなくて、むしろ人に恵まれている方だ。
でも忙しさの中でふと思う。私がやりたいことってこれなのだろうか。
私がなりたい私って今ここにいる私なのだろうか?
私が思っていることは、純文学をやりたいと夢を語るのに、一冊も本を書かず、優しくしてくれる女性に寄生しているヒモ男だとか、自分を探しに行ったはずなのに謎のパーティやイベントに必ず登場する、その人たちが語るのと同じような夢物語なのだろうか?

火曜日のドラマに出てきたセリフは、まるでそんな私に語りかけてくるみたいで痛かった。やらなきゃいけないことにまみれて、余裕がなくて、自分の頭の回転についてこない人にイライラしているヒロインは、とても私みたいだ。
そんな彼女に高橋一生演じる主人公は言う。

「やりたくないことばっかりなんですね。」

食い下がるヒロインに彼は続けた。
「やらなきゃいけないって言うからやりたくないのかと思いました。」


まったくもってその通りだ。成長するためにはやらなきゃいけないことがたくさんある。片付けなくちゃいけない課題がたくさんたくさん山積みになっている。
でもやりたくないことばかりを続けた先に、本当になりたい自分がいるんだろうか?

この物語の主人公は、友達いないでしょ?と皮肉たっぷりに言った彼女にこんな返事をした。一番仲良くなりたい人と仲良くなれたからそれでいいんです。
そしてその一番仲良くなりたい人は、昔は大嫌いで毎日泣いていた、自分自身だと言う。


私は私と仲良しだ。たぶん人より、自分と付き合うのが上手だ。
だけど、やらなきゃいけないことにまみれた私は、今、自分を大切にしてあげてるのだろうか?明日おいしいごはんを食べるために、ぴったり合う靴を買うために、大好きな人に会うために、やらなきゃいけないことがたくさんある。


私はいろんなドラマを観るのが好きなのだけど、定期的に観るドラマがある。
そのドラマの中で、人生がうまくいかない時は“神様がくれた休暇”なのだとキムタクが南を励ます言葉をかけるのを観るたびに思う。
『私のロングバケーションはいつ終わるんだよ。長すぎない????』
もう何回思ったのだろう?
そしてそう思うたびに来年こそは。3年後には!とやらなきゃいけないことを一生懸命片付けてきたのだ。


先日、私の大好きな推しがシャネルのブローチを3つもつけて韓国に帰って来た。
ほんの数年前までチャンネルと書かれた偽物を着ていた、庶民的な雰囲気の、かわいい男の子だったのに、ひとつ8万円ほどであろうブローチを3つもつけて、その日の午後にはすてきなスーツ姿の胸に、文化勲章のバッジをつけていた。
人ってどうなるか分からない。
私だって、どうなるか分からない。数ヶ月後にはシャネルのブローチを3つ気軽に買って、あちこちにつけてソウルの空港を歩いているかもしれない。
行きたくなさで全開の明日、もしかすると私の“長い休暇”がとつぜん終わって、すてきな未来が始まるかもしれない。


BLACK PINKの曲の歌詞にこんなフレーズがある。

“勘違いしないで 
簡単に笑ってあげるのは私のためだから”(※)

明日、たくさんの視線の中で笑顔を振りまくのは私のためだ。
やらなきゃいけないことをやるのも私のためだ。

ココ・シャネルの言葉にこんな名言がある。

私の人生は楽しくなかった。
だから私は自分の人生を創造したの。

明日はきっと良い日になる。
口にしたことはすべて叶えてきた、大好きな彼と同じ香水をつけて
私を創造するように、
お気に入りの靴でカツカツと、かっこよく歩こう。





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