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日本のボーイズグループにできることはまだあるかい【BE:FIRSTプレデビュー記念】

約半年のオーディション期間を経て、日本にボーイズグループがまた一つ誕生した。SKY-HI氏がCEOを務める事務所BMSG所属「BE:FIRST」だ。

※この記事では、アイドルとダンス&ボーカルグループをほぼ同じ土俵で語っているので、[アイドルの定義過激派]、[ダンス&ボーカルグループの定義過激派]の皆様におかれましてはご注意ください。

昨今の日本のボーイズグループ業界

今の日本におけるボーイズグループとそれを取り巻く状況はどうかといえば。

ジャニーズ所属のグループが音楽CDチャート1位を独占。かと思うと、K-POPグループのカムバ期間が来て、一瞬で1位を掻っ攫う。そこに「日本産K-POPグループ」とも言えるJO1も華々しく登場。

テレビの音楽番組には見慣れた顔のジャニーズのグループが出演し、合間のCMにも度々出現。一方YouTubeには、高画質なK-POPアイドルのパフォーマンス動画が無限に上がっているし、VliveではK-POPアイドルのライブ配信が見放題。

・・・と、このように、日本のボーイズグループの業界を語れば、何よりジャニーズの帝国であることには間違いない。そしてそれに加えて特筆すべきは、2000年代のように「K-POP」という別ジャンルのもの、としてはもはや語れないくらいにK-POPカルチャーがガッツリと日本のボーイズグループの業界を侵食してきている、そんな様相と言えるだろう。

では、世界に目を向けた時、日本のボーイズグループの存在感はどこまであると言えるのだろうか。日本の一大王者であるジャニーズも最近拍車をかけて世界を目指している(英語詞の楽曲、海外の市場を意識した楽曲制作、YouTubeの活用等)ものの、隣国韓国のグローバル市場での破竹の勢いを見てしまっている中で、それと比較してしまうと成果が出ているとは言えないだろう。

日本のボーイズグループはこれからも、日本のエンタメ業界を完璧に牛耳っている一方で世界から見た時はニッチコンテンツとなってしまうジャニーズという形や、世界に輸出を促進しているK-POPのフォーマット拝借という形でしか、世に現れ活躍することはできないのだろうか。
そしてこのまま、日本のボーイズグループは世界に羽ばたくことはできないままでい続けてしまうのだろうか?

日本のボーイズグループファンはBE:FIRSTの誕生を待っていた

そんな中、正真正銘、新しい日本発のボーイズグループとして誕生した「BE:FIRST」。世の人々の潜在意識下では必然的に、このようなグループの誕生が待たれていたと言えるだろう。

実際に、BE:FIRSTのYouTubeのコメント欄やTwitterを見ていると、元々K-POPのファンで日本のグループには興味がなかったが、SKY-HIさんの思想に共鳴し日本から世界に向けた取り組みを応援したいというファンや、日本発の新しいカルチャーの創出に期待を寄せ、応援し始めたというファンも多い。

JO1やINIは、いくら日本を拠点とするオーディションで選ばれたメンバーで構成されていても、やはりオーディションのフォーマットは韓国から輸入したものであり、純然たる日本発のボーイズグループとは言えないという認識だ。

楽曲の作曲・作詞陣の顔ぶれを見てもやはりK-POPグループに楽曲を提供している方が多いし、スタイリングやメイク等も勿論韓国スタイルとなる。(事務所が韓国企業との合弁会社のため、韓国市場進出が前提としてあるので当然ではあるが。)

※勿論PRODUCE101も、日本の少年達(主に)で、ここまでハイクオリティなパフォーマンスができるグループが誕生するなんて!と感動したり、日本にも才能豊かな子達が実は眠っていたのだと気付かされる、という意味で、素晴らしい取り組みだという認識なのでその点は捕捉したい(私自身JO1のファンでもあるので)

音楽ファーストなBE:FIRSTに期待したいこと

グループとしてクオリティを追求することは大前提としつつ、それだけでなくこのグループにどうしても求めてしまうのは「アーティシズムファースト」「クリエイティブファースト」の姿勢の追求だ。(そもそもそういうコンセプトなのだが。)

今後デビュー後に発表される楽曲では、彼らの心情やメッセージ、彼らのやりたい音楽を織り込むことで、パフォーマンスをより高みに持っていってほしい

K-POP、特にBTSやSEVENTEEN等のヒットの理由の一つとして、メンバー達が楽曲制作に参加していることにより、楽曲に彼らのクリエイティビティやアーティシズムが存分に盛り込まれている、ということも挙げられると思う。

一方で日本のボーイズグループはどうだろうか。
実際、映画やドラマ、CM・広告とのタイアップで作られる楽曲は、楽曲の露出が確保されるし、商業的に考えれば重要であることは分かる。(勿論タイアップでも素敵な楽曲があることは認識しているが。)
だが「今回の新曲は、メンバーが出演するドラマの主人公の心情を反映した歌詞、振付となっています!」と言われた時、彼らがやっている音楽、やりたい音楽とは何だろう、と思うことはないだろうか。

勿論MVやパフォーマンスを見れば、メンバーの唯一無二の魅力が溢れていることは伝わってくるが、その楽曲に彼らの思いはどれくらい乗っているのだろうか?これは「歌わされている」のと何が違うのだろうか?と思わずにはいられないのは事実だ。

BE:FIRSTには、彼らの等身大の思いが乗っている楽曲、そして意図せずして、ファンであるフツーの人の様々な気持ちをも代弁してくれるような楽曲を、どんどん出していってほしい。

彼らのオーディション「THE FIRST」の過程で行われたクリエイティブ審査は、まさにそれを実現させていた。楽曲の完成度はまだ低かったり、不器用な印象も受けたりするが、パフォーマンスに彼らの気持ちが乗っており、その真っ直ぐな姿は、眩しいくらいに美しいと感じたし、視聴者の私まで「何か頑張ってみるか」という前向きな気持ちにさせられた。

メンバー達のクリエイティビティやアーティシズムが込められた楽曲と、更なるハイクオリティ(パフォーマンス面のみならず、その他の制作やクリエイティブ面でも)が組み合わさったら、ひょっとするとすごいものが生まれるんじゃないか?という期待をしてしまう。

そして、日本の若者達が韓国の流行りの楽曲に共感できているように、もっと広い話をすれば、世界中のARMYがBTSの楽曲に心打たれているように。
やはり、どこかの地域の特定の誰かに刺さる楽曲は、それがアジア、そして世界に広がっていった時も、同じように、世界にいる特定の誰かにきちんと刺さるものである。そしてそれは時に言語をも超えるものだ(それをBTSが証明してくれた)。

最後に

タイトルに記載した問いへの答えは、「BE:FIRSTが誕生したのだから、日本のボーイズグループにできることはまだあります!!!!」に尽きる。

そして彼らには今後早々に日本で天下を取り、アジア、世界へと羽ばたき、「日本のボーイズグループ」「日本のダンス&ボーカル」とはこういうものだということを見せつけ、日本の音楽の未来は明るいということを証明していってほしい。

願わくば、彼らのみの活躍に留まらず、日本のボーイズグループ、日本のダンス&ボーカルの業界がより活性化していき、固定観念に囚われずにカルチャーが生まれ続けるような環境になっていったら尚更嬉しい。

「BE:FIRST」の誕生は、そんな明るい未来に向けて踏み出す着実な1歩目であると思う。彼らの今後の活躍に注目したい。

最後にプレデビュー曲「Shining One」MVのリンクを貼っておく。

ジュノンの歌声で世界をとってくれ〜!(ジュノン推し)



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