寄る辺ない年の瀬、彼岸を探して

やっと終わる。そんな気持ち。

2023年、本当に長かった。年の瀬に一年を振り返って長かったと思うのは初めてかもしれない。苦しいことも怖いこともどうにか踏ん張らなきゃいけない場面もたくさんあったけど、嬉しいことも夢みたいなことも素敵な出会いもたくさんあった。そのすべてがこの365日の間に本当に詰まっていたのかと信じられないほど、この一年は濃くて長かった。

起きてからずっと大晦日の実感が無かった。いつもの休日のように昼前に起きて夕方から買い物に出かけていたら、ももいろ歌合戦で見たかったグループを全て見逃した。やたらと賑わうスーパーの鮮魚コーナーに揉まれながら、なんか皆元気だねとか思っていた。なんとか紅白は最初から見て、今年テレビからは摂取できない「ジャニーズ最高！」の気持ちをスノーマンの配信で思い切り感じて、やっと、ああ、年越しか。という気がしてくる。

音楽番組が盛り上がったり歌手の衣装がやたらと派手だったり好きなアイドルが動物のカチューシャをしているのを見られたりするのは嬉しいけど、年越し自体にはずっとさほど興味が無い。

年が明けたって何かが変わるわけじゃない。残した仕事は残ったままだし散らかった机は散らかったままだし別人になれるわけでもないから。地続きの日々をまた送るだけだから。

そう考えてるから新年になったくらいでわざわざ新しい目標を立てるのもキモい文化だなとは思ってるけど、何か指標が無いと、とは思うのでとりあえず今年を振り返って来年のことを何か決めておきたい。

ここ数年、大晦日に「今年何してたんだろ」と思うことばかりで、受験生の年ですらそんなことを思っていて。でも今年を振り返ると、「ああ、よく生きたな」と思う。久しぶりに生きた心地がしている。

日記の年頭所感を読み返したら、「私は今年も何事もなく生きたり死んだりできるんだろうか。またしょうもなく意義も価値もなく生きたまま、年越しを迎えてしまうんだろうか。」と書いてあった。重いと笑われるかもしれないが、本当に思っていた。年明けはめちゃくちゃ不安な気持ちだった覚えが確かにある。

振り返るとどうだ。しょうもなく意義も価値もない、というほどでも無かった気がする。怠惰は治らないし死ぬ勇気は出なかったけど、苦しい現状を打破する為に必要な勇気はなんとか振り絞っていたら、死ぬ勇気が必要なくなるくらいには希死念慮も薄くなった。精神の根底に植え付けられたものだからゼロになることは無いけど、以前は「今決めれば苦しみも痛みもなく死なせてあげますよ！」と言われたら迷いなく死んでいたところが、今はそう迫られても生きる気がする。

楽しみな予定、書きたいこと、叶えたい夢がたくさんある。今年本当に大切に抱き締めて生きていきたいと思える出会いがあったことで、これからも生きていればこんな素敵な出会いがあるかもしれない、それなら生きたいと思えるようになった。ここまで希死念慮が減って夢とか希望とかの話をしてしまうようになったのも、「どうなるかとか誰も知らないから明るい未来をイメージ」なんて歌う彼との出会いのおかげだ。

でも、自分を健康にしてあげられたけど、地獄の中を生きていた方が気持ちよかったな、とは思う。前はなんとか電車に乗ったり席に座って90分やり過ごしたりするだけで、こんな環境なのに頑張っているという被害者面をした逆説の中で自分を認めてあげることができたから。被害者面は本当に楽だ。ひとつの生きる術だとすら思う。でもそれを自分の意思で抜け出した今、大きく見たら精神的にすごく楽だけど、その代わり何をどうしたら自分を認めてあげられて納得させられるのかが分からなくて、ずっと自分の立っている場所が分からないみたいな感覚だ。

頑張っている方が精神的に楽でいられるタイプの人間だということはこの数年で学んだ。じゃあ今頑張ることは何だ？毎日休まず仕事に行く、受けた依頼の締め切りをきっかり守る、それは頑張ることじゃなくて社会人を名乗るなら最低限のことだよね。生き急いでどんどん新しいマスに進みたがるのも悪くないけど、今のマスに留まって経験を積んだり何かを極めたりすることで得られるものがあるとも思う。我武者羅は必ずしも美徳ではない。

これを天秤にかけたとき、今私が力を入れたいのは後者かもしれない。今の職場でとりあえず一段階昇給できるまで頑張ってみる、今貰える依頼をもっと洗練された内容で返す努力をする、そんな一年にしたいかもしれない。生き急ぐのをやめたのは、早く死にたいって気持ちが薄れたのも関係していると思う。でも不幸でいられるほど長く生きる気は無いという想いで大学を辞めて就職したのは英断だったと思ってるから、なんか、色々上手くできている。

変化より進化する一年にしたいから、具体的にはもっと本とか映画とかに触れたいかなあ。とりあえず無意味にスマホを見る時間を減らしたいな。ここには書かないけど明確な夢もひとつあるので、それもなんとか手繰り寄せられたらいいと思う。

それでは2023年もお付き合い頂きありがとうございました。来年も是非、私の自己満足をコンテンツのように扱って頂ければと思います。良いお年をお迎えください！