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【批評的視点で新たな切り口を発見】新しい価値の探索を促進するCritical Story Makingのススメ

※ 2020年10月に弊社Wantedlyにて掲載されたイベント実施レポートを再編集し、再録します。関西学院大学鈴木謙介ゼミの学生のみなさんに向けて開催したワークショップのレポートです。

インフォバーングループ内の部門とコラボレーションする形で開催されている関西学院大学鈴木謙介ゼミとのワークショップ。今回はIDL [INFOBAHN DESIGN LAB.](以下、IDL)がワークショップを企画することになりました。テーマとして設定したのは「2030年の学生が利用するサービスと、利用する際の消費行動・消費心理」。

Critical Story Making の実践 ~初期仮説の設定とプロットの作成~

今回のテーマに対し、学生たちにはIDLの推奨する “Critical Story Making” という手法を用いて考えてもらうこととしました。

Critical Story Makingとは、「物語を書く」という行為を通じて、新規事業や新規の製品・サービスのもととなる仮説を批評的に捉え直し、新たな切り口を見つけて仮説を強化することを目的とした手法です。仮説を物語として一度具体性を高めることで、それまで気づけなかった新たな疑問や課題を発見することができます。

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(Critical Story Making について)

Critical Story Makingを行う上でのプロセスは以下を想定しています。

1. 初期仮説の設定
2. 物語の基本設計・プロットの作成
3. プロットの共有・物語の作成
4. 物語の共有・仮説の更新

今回のワークショップで学生たちには、ワークシートを用いて「初期仮説の設定」と「プロットの作成」を行ってもらいました。

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(学生に共有したワークシート)

Critical Story Makingを用いて立てられた4つの仮説

計2時間という限られた時間の中で行われたワークショップ。Critical Story Makingを用いることで「2030年の学生が利用するサービスと、利用する際の消費行動・消費心理」に関する4つの仮説が生まれました。

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はじめのグループは「オンライン授業が普及する中で変化する学内の友人づくり」に着目し仮説を立てました。授業がオンライン化し、どこに住んでいても授業を受けられるのが当たり前になった2030年。対面で交流する機会が減ったことで、大学生はマッチングアプリで学内の友人を探すようになると言います。課題としては、自分と近い考え方の人が集まってしまうことで、コミュニティ内の価値観の多様性に欠けてしまうことだと説明しました。

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次のグループは「受講を後回しにしがちなオンデマンド授業との付き合い方の変化」の仮説を立てました。好きなタイミングで受講できる反面、自己管理ができないと後でしわ寄せがきてしまうオンデマンド授業。その課題に対し、AIで個人の生活習慣を分析し受講スケジュールを最適化できるようになると良いのではと話しました。

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3番目に発表したグループは「授業のオンライン化で変化する大学生の行動」について仮説を述べました。キャンパスに通い友人と顔を合わせる機会が減ることで、自身が大学生であることの実感を得にくくなると説明します。そのような中、コミュニケーション機会の有無が授業を選択する基準の一つとなると話しました。合わせて、同じ大学に通う学生に向けオンライン上で自身をアピールする場が必要になると言いました。

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最後のグループは「AIによる分析結果が生活に及ぼす影響が増える中での大学生の価値観」を考え仮説を立てました。日本国内における人種の多様化が引き金となり、ジェンダーや国籍による差別が減少する世の中。それらと共に社会が能力主義へと変化する中で、能力による差別が生まれると言います。続けて、大学生はAIが能力を分析し自身に最適化した人と交流するようになるが、次第に違和感を覚えるようになると説明します。結果、自分自身で考え交流相手を決めたいと思うようになるのではと話しました。

Critical Story Making に期待できること

今回のワークショップを通じて、学生たちにはCritical Story Makingの一部を体験してもらいました。

ワークショップを終えた学生のひとりは、はじめは「2030年の学生はAIを活用しているに違いない」と考えていたそうです。しかし、Critical Story Makingでプロットを書いてみると「いや、AIからの提案と自身の感覚の齟齬を感じるようになるのでは?」と考え直し、仮説を修正したと話しました。

仮説のブラッシュアップには、仮説に対する「新たな問い」の発見が不可欠です。しかし、その「問い」が案外見つからないもの。Critical Story Makingは、仮説を物語として具体化するという行為を通じて、執筆者の新たな「問い」の発見を促進します。

鈴木謙介教授は学生たちに向け『ワークショップで考えたことの「その先」を考えてみると面白い』とコメントしました。今回のワークショップで行った「プロットの作成」はいわばストーリー作りのスタートライン。これらを元に物語を紡いでいくことで、仮説に対してさらに思考を深めることができるようになります。

この手法は、今後始める新規事業の出発点を探すため、またはビジョンづくりのプロセスとしてユニークな文脈や切り口を生み出すために活用することを想定しています。

ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にご相談ください。
お待ちしております。

記:阿部俊介

IDLの新規サービスと最新版ポートフォリオ

IDLの新規サービスと最新版ポートフォリオはこちらからダウンロードできます。本ワークショップで行ったCritical Story Makingの詳細もこちらからご覧いただけます。

https://7795541.hs-sites.com/service-doc

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