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【アフリカの地下水プロジェクト】安全な飲料水確保のための継続した取り組み<三祐コンサルタンツ>

国名:ベナン
プロジェクト名:村落給水計画(第1次~第6次)


1980年代から始まった協力
 生活圏に給水施設がなく、人口に対する水源施設が不足し、安全な飲料水の確保が困難な状況が見られるベナンの農村部では、婦女・子どもの水汲み労働による就学困難や労働力減少、水因性疾患の発生といった課題を抱えている。
 本協力では村落部の井戸水源開発と給水施設整備を対象として1985年の第1次計画から2009年の第6次計画にわたり、深井戸の新規掘削および改修工事を行い、延べ68万9,000人に衛生的な水が供給された。
 この間に掘削・改修した井戸の数は1,210カ所にのぼる。また相手国政府が地下水開発を進める際に必要となる地下水探査機材をはじめ、削井機および支援車両、掘った井戸の検層器・水質分析器などを供与した。

給水施設の維持管理と衛生啓発
 給水施設の建設時にはソフトコンポーネント活動としてポンプ機器の維持管理技術の指導に加え、修理工の連絡先や交換部品の調達先のリストを作成し、施設の持続的な運用を支援した。
 また村落内に給水施設管理委員会の立ち上げと会計管理の導入を呼び掛け、人力ポンプや共同水栓で徴収した料金の中から修理資金を積み立てることで故障時の対処を容易にし、施設の長期活用を図った。
 本協力の実施初期は、地面を掘って水を汲む水源や溜池などの不衛生な水に頼る人々も少なくなく、飲み水に起因するギニアウォーム症撲滅に向けた取り組みが続いていた。安全な水の供給と共に衛生啓発にも力を入れた本協力を経て、清浄な水を利用する住民の健康な笑顔が見られるようになった。

小規模管路給水施設の給水塔
水管理委員会による料金記録

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本記事は国際開発ジャーナル2023年9月号に掲載されています
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