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【アフリカの地下水プロジェクト】援助協調枠組下での日本の支援<地球システム科学>

国名:タンザニア
プロジェクト名:タボラ州地方給水・衛生計画策定支援プロジェクト・タボラ州水供給計画


水資源開発困難地域での日本の協力
 タボラ州の給水率は、タンザニア水省(MoW)の水セクター報告書(2007/08)によれば49.1%。恒常河川が無い、地下水が基盤花こう岩の風化・破砕部分に沿って胚胎するなど、給水施設の水源確保が困難であるため、タンザニアで最も低い州であった。
 MoWは2007年から水セクター開発プログラム(WSDP)を発足させ、援助協調とバスケットファンドによるプログラム管理を導入。この枠組みの下、二国間協力でWSDP実施に貢献する日本の政府開発援助(ODA)事業、そして「開発計画から建設」までのプロセス迅速化を目指し、無償資金協力事業の基本設計調査の内容を含んだ開発調査型技術協力として実施され、WSDP実施プロセスも考慮したタボラ州給水基本計画が策定された。

住民参加型運営維持管理モデル
 WSDP事業に貢献する形で実施した無償資金協力事業では、最終的に公共水栓を配置した管路給水施設4基と手押しポンプ施設111基が整備され合計33村落・約3万人に安全な水の供給が可能となった。また全33村においてタンザニア水法に定められた「給水組合」の正式登録までを支援した。MoW地方給水局からは精度の高い計画策定や建設、地方分権の文脈に沿った関係者への能力強化活動が高く評価され、WSDP下で実施した地方給水事業の最も優秀なモデルとして評価された。さらに、2019年に実施された事後評価でも事業完成後3年で既に計画給水人口4万5,000人に達していることが確認され、水因性疾病や女性・子どもの労働時間の軽減への寄与に関しても定量的な報告があった。

学校内に建設された水栓 (イサンガ村)


会計係への帳簿記録研修

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本記事は国際開発ジャーナル2023年9月号に掲載されています
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