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誰もが天寿を全うできる地球を育む

これからのグローバルヘルス

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは瞬く間に全世界へ広まり、人の移動や貿易活動の停滞など、人々の生活や経済活動に影響を及ぼしている。さらなる感染拡大を防ぎ、新たなパンデミックを防ぐための新次元の感染症対策が求められる中、国際保健協力の在り方は今後、どう変わっていくのか。最前線で感染症と戦うアクターたちの展望を聞く。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、長崎大学大学院の熱帯医学・グローバルヘルス研究科と熱帯医学研究所は3月下旬、緊急声明を発し、科学に基づく対策の重要性を訴えた。感染症対策と国際保健医療協力において、科学者と大学の役割は何なのか。熱帯医学・グローバルヘルス研究科長の北潔教授に尋ねた。

長崎大学大学院教授 熱帯医学・グローバルヘルス研究科長 
北 潔氏
1974年東京大学薬学部卒業後、同薬学系研究科博士課程を修了。順天堂大医学部講師、東大医科学研究所助教授などを経て1998年より東大大学院医学系研究科教授。2015年から現職。2003~06年に日本寄生虫学会理事長、2009~11年に日本生化学会会長を歴任

ウイルス検出システムも開発

 緊急声明は、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言を支持するものだった。その提言は、厚生労働省クラスター対策班が信頼できる疫学データを集積し、最新の技術で解析した結果を基に専門家会議が練り上げた。日本の感染症対策は瀬戸際に立たされており、国や地域を越えて「人類の叡智」が試されている。私たちは専門家会議の声に耳を傾け、一致団結して行動すべきことを呼びかけた。

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国際開発ジャーナル6月号での特集「コロナ危機が問う国際協力」で掲載した新型コロナ関連記事を抜粋したマガジンです。 保健医療を中心に国際協力…

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