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【“再エネ100%”への挑戦vol.2】自然電力流・チームづくり ― 地球に貢献する人材が活躍できる組織環境をつくる

「青い地球を未来につなぐ」を掲げ、世界中で再生可能エネルギー事業を展開する自然電力(株)。グループ社員の国籍は累計20数カ国におよぶ同社の「チームの在り方」について久保田洋輔さんに聞いた。


自然電力(株)People Experience 部 組織開発グループ グループリーダー久保田 洋輔氏 (くぼた ようすけ)
早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は中国のハンセン病元患者の支援やカンボジアの孤児院で活動。2009年株式会社リクルート入社。2012年、英国ヨーク大学大学院修了。スリランカでフィールドワーク、ルワンダでインターンを経験。修了後、上海のメディア広告会社を経て、2013年に自然電力に参画。プロジェクトファイナンス業務などに従事後、人事・エンゲージメント業務へ。


最大の”資源“は人材
 自然電力グループは現在、日本のほかに、ブラジルや、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムなど東南アジアを中心に海外事業を展開している。
 主に発電所の建設・運営・保守を手掛ける同グループは、独自の工場や特許を有しているわけではなく、歴史も浅い。そのため最も大切な資産は、「開発、資金調達、建設、メンテナンスまでを担う多様なバックグラウンドを持つ人材」と組織開発グループで海外人事、企業文化、エンゲージメントなどを担当する久保田さんは語る。
 設備の点検に限らず、サプライチェーンを幅広く見る自然電力には電気・土木エンジニアなどの技術者、法務や財務会計などの専門家、そしてチームをまとめ、国内や海外の現地政府や関係者らとの交渉を行うプロジェクトマネージャーなど、20代から70代まで幅広い職種の男女約300人が活躍している。
 海外の現場で活躍する社員の多くは現地人材だ。それぞれが住む国や愛着を持つ地域を良いものにしたいという思いで事業に携わり、国内外のパートナーと連携・協業を進めている。社員一人ひとりが主体的に取り組む自律分散型の組織がスピード感ある事業展開を可能にしてきた。久保田さんはさらなるダイナミズム創出のため、各地の人材がそれぞれの力を発揮しつつ共通の目的を実現する組織づくり、カルチャーの浸透に力を入れている。

平和への思いを原点に
 久保田さん自身もユニークなキャリアを持っている。学生時代に中国やカンボジアでボランティアに打ち込み、社会貢献とビジネスの両立を模索してきた。日本の企業勤務も経験したが、国際協力の本流で学びたい思いに突き動かされ、英国の大学院に留学。紛争後の復興をテーマに開発学を学んだ。その後、中国・上海の企業に勤務中に自然電力について知った。当時、20人程の規模の新しい企業だった。
 「気候変動は紛争以上の規模で人々の生活を脅かし、貧困でインフラが整っていない地域に住む人々に影響がより強く出てしまう。原因こそ異なるものの、学生時代から目指していた地球規模の課題解決に再エネというビジネスで取り組めるのではと惹かれました」と久保田さんは振り返る。
 入社当初、自身が海外事業のプレーヤーとなるべく、プロジェクトの開発やファイナンスに携わっていたが、「海外事業は、その国の言葉や法律などに長けている現地の人材に活躍してもらったほうが、日本人である自分よりもビジネスは進む」と実感。国際的な人材の活躍を支援するため、人事部へ異動を願い出た。


フィリピン現地クルーと世界銀行マニラオフィス訪問時


自然の中で、 仲間と地球と絆を強める
 
「青い地球を未来につなぐ」という目的実現のために海外人事として重視するのが、「自社の存在意義・方向性と大切にする価値について理解を進めることと、社内の一体感の醸成」だ。
 「特に〝挑戦〟〝信頼〟〝誠実〟という3つの価値は私たちの事業に欠かせない。世界共通の普遍的なものですが、本当に体現できているのか*クルーに常に問いかけています」
 海外事業に携わる社員に直接会えるのは年に数回とそれほどは多くはない。そのため、年に1回は海外事業に携わる全社員が海外で集まり、ワークショップなどを通じて目的、ビジョン、価値観を確認しあう。
 また、社内コミュニケーションの活性化のために行っているのが世界中の社員が年に一度、日本で一堂に会する「オールミーティング」だ。
 「みんなで〝地球を楽しむ〟ことで仕事の原動力にしています」
 世界中から日本のアウトドア施設に集まり、大自然の下で、顔を合わせて語り合うことで相互理解と自社への共感・理解度を深めていく。創業当時からの取り組みだが、コロナ禍でリモートワークが進んだ今、より重要性を増した。
 「大勢の仲間がアウトドアで打ち解けて話し合っている姿を見ると、ここから新しい価値が生まれていくんだなとワクワクします」

求めるのは、変革を生み出せる人
「2030年頃、『再エネ、脱炭素といえば、自然電力だよね』と言われるような、世界で最もエキサイティングで優秀な才能が集まる企業を目指しています」と久保田さん。求める人材像についてはこう語る。
 「脱炭素社会の実現は人類にとって未知の領域。そのために異なる強みを持った素晴らしい仲間たちが活躍しています。多様な価値観を尊重しながら社内外で志を同じくする仲間と共創できる方、走りながら考え、変革を生み出せる方にぜひ参画してほしいですね」


自然の中でのオフサイト会議のひとコマ
2022年秋「ALL MEETING」での集合写真

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本記事は国際開発ジャーナル2023年8月号に掲載されています。
(電子版はこちらから)

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