見出し画像

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊を見た

 初めまして。イデです。読んだ本・見た映画・行った展示について記していく予定ですが三日坊主なので続くかわからないです。よろしければ見ていってください。


 私は昼夜逆転しがちな人間である。この日も徹夜し、そのまま朝を迎えた。ここで寝てしまってはまた昼夜逆転が深刻化する。そう思った私は、負の連鎖を終わらせるために徹夜したまま映画館へ向かったのだ。頭はバッチバチに冴え、眼はギンギンにかっぴらいていた。

 さて、朝っぱらから見てきた映画はフレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊である。ネタバレなしで、好き勝手にコメントする。

ー---------------------------------

 生きることは難しい。なぜ難しいかって訊かれたら、上手く答えられない。だけどなんとなく辛くて悲しくて、生きることは難しい。私はそう思う。

 この映画は始めから終わりまで色合いが美しい。絵本の世界のような柔らかさがあるが、一方で目が覚めるような鮮やかさがある。そのため、映画の内で示される出来事は、今私たちが生きている、生々しい現実とは少しかけ離れているように思えた。その『仮想』っぽさがこの映画のいいところだと思った。

 というのも、この映画が『仮想』っぽいからこそ人間と言う生きものの寂しさやかわいらしさや切なさを、第三者の目線で眺められるからである。映画の中の登場人物にのめりこんでしまえば、その映画を遠くから見つめることは出来ない。(もちろん、のめりこんで見ることができる映画というのも、とても素晴らしいが。)

 言い換えると、読み聞かせを聞いている感覚で見ることができる映画なのだ。人の生きざまの記録を、遠くから見つめる傍観者になる。日常生活において、必死に、苦しみながら生きている自分の生きざまも、遠くから見つめる傍観者にとっては一人の人間がバタバタと動き回る起承転結のないストーリーなのだ。人生とはそういうものなのだ。

 ダサくて、どうしようもなくて、上手くいかない人間だって遠くから眺めれば愛しいいきもの。そういうことを教えてくれる映画。人間への愛を語る映画。最後まで見た時、押し寄せる切なさと愛しさでいっぱいだった。これを読んだあなたが見てくれたら嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?