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#5 魔除けの呪文だった? Lullaby -ララバイ- の語源の話②-2

こもりうたを [赤ちゃんを寝かしつける時に愛情たっぷりに歌われてきた癒しの歌] だと思ってきた1児の母が、現実の寝かしつけを知り「世界の寝かしつけがそんなに穏やかなはずがない」と疑いながら、研究家としてこもりうたの面白い小話を発信しているシリーズです。

前回のお話では、Lullabyの語源のちょっと怖い説をご紹介。

今回は、これまでお話してきた2つの語源説を踏まえて感じたことをお話します。


こもりうたは「おまもり」

2つの語源説で感じたこと

1つ目の説は「なだめ、そばにいる」、
2つ目の説は「リリスよ、去れ」。

どちらも仮説であり、正しさを争うものではありませんが、今回調査をして気づいたことが一つ。

生きる時代も宗教も違う私の親心が、何度も何度もうずき「うん、うん」と頷きながら調べ進めていたこと。
そばにいるからね、よしよし
 そしてどうかこの長い夜も守られ、何事もなく朝を迎えられますように。

言われてみれば、そんな祈りの気持ちが心にずっとある気がします。

祈りがお守りに、歌に

低月齢期は親も睡眠との戦いで記憶がありませんが(笑)、まとまって眠れるようになればそれはそれで、自分が寝ている間に何かに気づかずSIDS(乳幼児突然死症候群)が起きたらどうしよう、窒息していたらどうしよう。

眠るというのは、少なからずその場から意識が離れる怖さとも隣り合わせ。
ユダヤ人の母たちがお守りを掛けていたように、不安な気持ちが祈りに、祈りがお守りにと、形を成してきた気持ちは痛いほどわかります。

こもりうたの根っこは、お守りの音楽なのだなと。そう感じました。

語源はまだまだ入り口

2回に分け、語源からこもりうたの世界を覗いてみました。
言葉は表象の一部、まだまだ入り口です。
時代・世界共通の愛情は感じられましたが、実態は暴れん坊との格闘や泣き声シャワーの洗礼など、もう少し過酷な色が見えてもいいのでは?と感じています。

次回は、視点を日本に。
こもりうたの本音の部分がもう少しリアルに見えてきたのでご紹介します。


おすすめこもりうた

過酷な日々に、音を吸う時間を。音のお守りと言えばこれ


浦上咲恵 Sakie Uragami
Sound Stylist 、こもりうた研究家

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)、メンタルヘルスマネジメントⅡ種Ⅲ種。慶應義塾大学環境情報学部、同大学院 政策・メディア研究科修了。認知科学の分野で生活音を実践的に研究。
クリニック等のデリケートな音空間のデザインを積極的に手掛ける。視覚障害者向けの総合支援エリア「神戸アイセンター ビジョンパーク」の音空間創造を担当し、2018年度グッドデザイン賞を受賞。

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