#2 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-2
前回、子守歌の英語である"Lullaby"「ララバイ」の語源についてご紹介しました。「ララ」はなだめる、「バイ」は傍にいる。そんな素敵な語源でした。
さて、「ララ」についてもう少し深堀りしてみると、更に面白いことが分かってきました。
あの言語もこの言語も「ララ」は似た意味
なかなか他で出会う機会がないlullですが、英語以外にも、近い発音が「なだめる」「寝るために歌う」という意味になっています。
フィンランド語には歌うことを意味する"laulaa<ラウラ>"、ヒリガイノン語ではこもりうたを歌うという動詞として"lala<ララ>"があります。その他、スコットランド語、オランダ語、ドイツ語、デンマーク語、スウェーデン語、アイルランド語にも。面白いですよね。
言葉の成り立ちは往々にして文化と密接な関係にあり、国や文化を跨いで広まることも。しかし今回は、人類の本能的な何かがそうさせている予感がします。
もしや、みんな「ラ」であやしてきた?
子供に歌いかける「ラララ」の音から来た説
調べるほど、"ララ"(的な音)と"なだめる"には強いつながりを感じます。
例えば、そもそも"lull"の由来が、子供に歌いかける"la-la-la" "lu-lu-lu"の音だと言う説。
確かに、私たちは「ラララ」と歌えば、世界のどんな歌も一緒に楽しめます。言葉の通じない国の人とも、もちろん、言葉を習得していない赤ちゃんとも。力の抜けた、優しい音。
「ララ」の辞書的な意味なんて関係ない。歌えば思わず出てしまう。
中世でlullenになる前から、人類の先輩ママたちみんな「ラーラー」ってあやして来たんです、きっと。
息子を「ララ」であやしてみたら
それなら私もと、1歳7ヶ月の息子に試してみました。
知恵もついて、意志も出てきて、寝ようと促すと暴れ出す年頃。
隙をついてぎゅっと、ぽんぽんしながら「ララ」で簡単な歌を…
…やー暴れる暴れる!笑
考察通りにはいかないものですが、語源ひとつから先人たちの気持ちを少しだけ覗くことができたように思います。
昔の子だけ「ララ」ですんっと寝たはずがないと信じて、人類の歴史と同じ年月ある子守の現場に思いを馳せながら、次はもう少し優しく歌ってみようと思います。
次回、「バイ」への疑念から始まります。
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