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#6 こもりうたは労働歌だった?①

こもりうたを <赤ちゃんを寝かしつける時に愛情たっぷりに歌われてきた癒しの歌]だと思ってきた1児の母が、現実の寝かしつけを知り「世界の寝かしつけがそんなに穏やかなはずがない」と疑いながら、研究家としてこもりうたの面白い小話を発信しているnoteです。

こもりうたの英語である"Lullaby"の語源には「あやし、そばにいる」というハートフルなものから、「子どもを奪う悪魔リリスから護るお守り」といった、子どもへの愛情を感じる様々な説が見受けられました。

しかし、親になった今、正直に思うのは「綺麗事すぎやしないか?」ということ(笑)
初回では「こもりうたは辛い寝かしつけの捌け口であった」見解をご紹介しましたが、その通り、世界のこもりうたには実は寝かしつけの過酷さ、つらい気持ちの吐露が存分に見て取れるのです。

今回は、中でも日本のこもりうたに焦点を当ててご紹介します。

日本民謡におけるこもりうた

仕事唄の分類

日本民謡においては、子守するための仕事唄として位置づけられます。
「眠らせ唄」「遊ばせ唄」に分類されますが、後者は更に「目さめ唄」「まじない唄」が含まれています。

こもりうたの起源?労働歌としてのこもりうた

日本のこもりうたに関する書籍を多く出されている松永伍一氏によると、その他にも種類があると言います。

これら赤ん坊の身内の人が歌うものと別に、子守奉公に雇われた少女が、労働としての子守で歌ってきたものがある。

松永伍一著『日本の子守唄』新装版(1978・紀伊國屋書店)

「子守くどき」「守り子唄(もりこうた)」とも言われており、子守が居直って雇い主の悪口を歌うもの、子守女が境遇を嘆くことでわが身を慰めるものなどさまざま。

時代にもよりますが、子守奉公の年齢は7歳ころから14~15歳まで。貧家出身の娘が多く、食い扶ち減らしのために他所の家で子守の仕事を担います。
調べていくと、貧富の別なく通過儀礼的な側面もあり、仲間ができたりと決してネガティブな側面ばかりではないようですが…


次回、実際に背筋が凍りそうな日本のこもりうたをいくつか紹介します。


おすすめこもりうた

日本の童謡も、こもりうたのひとつですね。
懐かしい気持ちや想い出の風景が、眠気をさそいます。



浦上咲恵 Sakie Uragami
Sound Stylist 、こもりうた研究家

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)、メンタルヘルスマネジメントⅡ種Ⅲ種。慶應義塾大学環境情報学部、同大学院 政策・メディア研究科修了。認知科学の分野で生活音を実践的に研究。
クリニック等のデリケートな音空間のデザインを積極的に手掛ける。視覚障害者向けの総合支援エリア「神戸アイセンター ビジョンパ

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