父親の遺品 レコードから触れる面影

さて、私の父は私が小学校低学年の時に亡くなっている。
今私は39歳なので、もう随分と前の事。
父親は入院生活が長かったものだから、当たり前ながら家にいるのは男親を兼任している母親だけだった。
そのためか「父」と聞くと、乳のついた「父」しか思い出せない。

病院にお見舞いに行っても、正直、父という実感は薄かった。姉はそう感じてないと思うが、小学生に上がる前の子供にとって日常生活にいない大人は、たとえ親でもキズナが薄く実感が湧かないのだ。言葉では認識していても。

しかし遺伝子とは何とも不思議なもので、親戚一同に言わせると私は父親(みのる)にそっくりらしい。
ビールが好きなのも、音楽が好きなのも、歴史が好きなのも、釣りが好きなのも、顔つきも。
おまけに煙草も同じように飲むので、数年前に母から父の遺品のライターを頂いた。
メルカリで800円位で売られているライターだが、私にとって特別な宝物である。

ライターと姉と私の他に、父の遺した物があった。(私にとって)大量のレコードである。
その9.5割がジャズ。
まぁ音楽はもとより好きだし、バンドも組んでいた。
けれど、ジャズは全く聴いたことがない。
いや、全くではないか、キース・ジャレットだけはたまたま伊坂幸太郎の小説に出てきて、唯一聴いている。

何が言いたいのかというと、私は手元にあるジャズレコードに対して0.001グラム以下の知識しかないのだ。
ジャズに明るい人物だったら、父の遺したレコードを見て父がどんな人柄だったのか分かるのだろう。

そう、私は父がどんな人だったか知りたくなったのだ。
母や親戚の第三者から見て、ではなく、彼が蒐集した持ち物から、人柄を感じてみたくなったのです。

ここには遺品のレコードを聴いたジャズ初心者の雑感をタラタラと書いていこうと思います。
備忘録も兼ねて。
そして最後のレコードを聴き終わったあと、みのるの人物像が高解像度で知れたらいいな、と思います。

母が大切に保管してくれていたから、数十年経っていてもレコードに損傷はなくとても綺麗な状態で遺っている。
もしかしたら、父と母が2人で聴いたレコードも入っているのかも。




お父さん、このレコード達をあなたがどんな気持ちで聴いていたのか想像するのが私は楽しみです。
とびっきりのなぞなぞを遺してくれてありがと!
お母さんも大切にずーっと保存しててくれてありがとう!

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