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【研究ノート1】リーダーシップ理論(その1)「PM理論」

昔、三隅二不二氏の「リーダーシップの科学」というブルーバックスの本を読んだことがある。PM理論というもので、Pが「業績:目標達成機能」(Performance)をあらわし、Mが「維持:集団維持機能」(Maintenance)を表しており、それぞれの力の大きさで、PM型、Pm型、pM型、pm型の4つに分けられるとする理論である。スケジュール、目標達成、ルールなどにめちゃ厳しいP型のリーダーシップと、メンバー一人ひとりの人間関係に気遣い、チームワークを大事にするM型のリーダーシップの両方を兼ね備えたPM型が最も良い型とするリーダーシップ理論である。あと3つのPm型はPが大きくてMが小さい業績重視リーダー、pM型はその逆のチームワーク重視リーダー、pm型はどちらも発揮していないダメダメリーダーという分類である。

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この本が出たのは1986年で僕が大学3年生の頃だった。この年は男女雇用機会均等法が施行された年だが、当時はまだまだ男が稼いで奥さんが家を守るという雰囲気の世の中だったので、このPM理論はパパ・ママ理論とも呼ばれ、厳しく子どもを育てるお父さんと、子どもの気持ちに寄り添うお母さんのイメージをあてて、このPM理論を説明していた。まあ、現代では主夫が珍しくなくなっているので、こういう説明ではぼやけてしまうかもしれない。

それにしても、現代はチームワークばかりが重視されて、少し厳しいことを言うとパワハラ扱いされてしまう。あまりにも弱々しい社会になっているような気がする。チームワークはもちろん大事であるが、メンバーが心地よいと感じるゆるい仕事のレベルに落としてしまうと業績が落ちてしまう。業績のほうが大事なのはこのPM理論でもpM型よりPm型の方が良いとしていることでも明確である。

しかしながら、会社での問題は、ほとんどが上司との人間関係に起因するものであり、関係の悪い状態のままではパフォーマンスも出てこない。それは夫婦関係も似たようなものだ。夫婦関係のほとんどの問題が男女の考え方の違いから生じている。何か問題が起きたときに、男の方は解決方法をすぐに提案するのだが、女性は話を聴いてほしいだけということが多い。要は女性にとっては「共感」の態度が重要であって「ソリューション」ではないということである。夫婦喧嘩のほとんどはこの噛み合わない気持ちから来ている。

「年上の義務」(山田玲司著:光文社新書)という本の中に年上の義務は「愚痴らない」「威張らない」「ご機嫌でいる」の3つが重要と書かれている。これは家の中でも同じである。奥さんも「愚痴」「上から目線」「不機嫌」が嫌いなのである。先程のソリューションについては「上から目線」で言われた感じになるのだそうだ。(私も妻からそう言われました。)

話がそれてしまったが、企業の中では、従来の管理構造の中での上司(リーダー)と部下(フォロワー)の関係にフォーカスしすぎているので、チームワーク重視が過ぎてしまい弱々しい組織になっている。平成の世の中は会社の組織構造を変えずに、人間関係だけを良くしようと考えたのでなんだかうまく行かなかった。これからの世の中ではそもそもの組織における管理構造を変えてしまう必要があるのではないだろうか。と、そんなことを考えています。(リーダーシップ理論(その2)に続く)

【今日の研究】
リーダーシップ理論として、歴史をたどると5つの理論に大まかに分かれる。今日お話したPM理論は2番目の行動理論の一つ。

1.資質 (trait) 理論(1940年代〜)
   →リーダーの持つ個性に注目
2.行動 (behavior) 理論(1960年代〜)
   →リーダーの部下への行動スタイルに注目
3.コンティンジェンシー理論(1960・70年代〜)
   →1,2が成立する条件に注目
4.LMX (Leader-Member-Exchange) 理論(1970・80年代〜)
   →同じリーダーでも部下との心理的な関係に注目
5.変革リーダーシップ理論(1980・90年代〜)TSL (Transactional Leadership) および TFL (Transformational Leadership)
   →TSLは部下を良く見て行動するリーダー
    TFLはビジョンを示し、部下を啓蒙し、変革するリーダー

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