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【研究ノート4】リーダーシップ理論(その4)「ティール組織(1)」

去年の今頃、ソニックガーデン社長の倉貫義人氏著「管理ゼロで成果はあがる」を読んで少し唸ってしまった。ほんとにこんなことができるのだろうか?と。「上司なし・決裁なし」「売上目標・ノルマ無し」「働く時間も場所も縛りなし」「評価制度なし」「給与は一律・賞与は山分け」等々のことである。。

その前の倉貫氏の著書「リモートチームでうまくいく」は会社そのものの物理的なオフィスを廃止し、全社員リモートワークでうまくやっているという内容だった。これを読んだときも「絶対ムリ!」と思っていたが、今や時代が彼に追いついて、僕らもコロナ禍の中で全社リモートワークになってしまっている。非常事態になればできるのものだったのだ。

倉貫氏のことは同社が社内ベンチャーだった頃に「SKIP」という社内SNSの初期導入をしたことで親しくさせてもらっていたが、あれよあれよと言う間に会社を独立させて、有名人になってしまった。(その間僕はいったい何をしてたのやら。。。)まあこの「SKIP」という社内SNSだって、今でいうチャットツールのSlackやTeamsの先取りのようなもので、時代の一歩先をとらえている気がする。

で、冒頭の著書を今日読み返しながら、ソニックガーデンが実行していることこそがまさに「ティール組織」だなと思った。時代を軽々と超えてしまっている感じである。ティール組織の前提として「ホラクラシー」組織という、役職・階層のないフラットな組織であることが必要なのだが、この「ホラクラシー」がどうも通常の会社組織の考え方から抜けきらない僕らには一体何のこと?と、わけがわからないのだが、現実にこういう企業が出てきていることを認識して、発想の転換を図らなければいけないなと思う。日本企業は昭和の高度経済成長時代という過去の成功体験を振り返ってばかりでは、いつまでたっても前に進めない。

と、前置きが長かったが、ティール組織についてお話をしていきたい。

まずこの「ティール」の意味が最初わからなかったのだが、なんと色のことだった。「鴨の羽色(かものはいろ)」というらしい。フレデリック・ラルーは組織の進化を次の5段階の色にわけている。(きちんとRGBを調べて色を出してみました(笑))

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初期の組織として、ギャング組織のようにボスの恐怖政治で成り立っているのが「レッド組織」で、次に軍隊的な「アンバー組織」(このアンバーは琥珀色とのこと)、その次が今も多くの企業がとっている組織形態である「オレンジ組織」となっている。

次の「グリーン組織」であるが、個人に権限移譲を図ったボトムアップ型組織ということであるが、現実的には大企業が「家族」的になることは難しく、今はまだ一般的に「オレンジ組織」の状態の企業が多いと思われる。

「ティール組織」はそれまでの4段階とは全く異なり、ヒエラルキーを排除しているので突拍子もない感じである。だが、冒頭の倉貫氏の著書でも述べられているが「セルフマネジメント」の徹底など、3つの突破口が存在している。

特に「セルフマネジメント」は重要で、社員一人ひとりが自律的に働く状態になっていなければ、やはり管理職というのが必要になってしまう。働いているかどうかの管理が必要だからである。

明日はこの「ティール組織」の3つの突破口について解説していきたいと思います。

【今日の研究】
「断続的均衡モデル」の研究の中で、リーダー不在でもラディカルな変革が可能であることを示唆した論文としてPlowmanら(2007)の英文論文を参照。アメリカ郊外の教会が大きく変革していった事例を扱っており、下記のような変化がおきたとしている。ここに「センスメイキング」という言葉が出てくるが、来週からは「センスメイキング理論」について研究していきたい。

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